相鉄・東急直通線、工事の真上で連続陥没の不安 6月に2回も発生、トンネル工事との関連は?

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新横浜トンネルは、新綱島駅―新横浜駅間に建設中の地下トンネルだ。新綱島駅側では東急東横線の下、そのほかの大部分は環状2号線の下を通過する。

同トンネルは、地中を筒状の「シールドマシン」で周囲の土砂を保護しながら掘り進め、コンクリート製の「セグメント」と呼ばれるブロックを組み立ててトンネルを造る「シールド工法」で建設しており、直径約9.5mの円形。完成後は複線の線路が通る。2018年12月に新綱島駅側から新横浜駅に向けて掘進を開始し、鉄道・運輸機構によると現時点で全長3304mのうち約2750mを掘り進んでいる。

最初の陥没が起きた6月12日は現場から約40m先(新横浜寄り)を掘削しており、陥没現場付近を掘削したのは6日前の6日だった。2度目の陥没現場は300mほど手前で、シールドマシンが通過したのは約2カ月前の4月30日だったという。

トンネルの土かぶり(地表面からトンネル上までの深さ)は、最初の陥没現場付近が約18m、2度目の現場付近が約19m。新横浜トンネルは深さが50m以上の区間もあるが、陥没現場付近はすでに地下にある首都高速道路横浜環状北線の上をまたぐため、同トンネルの中では比較的浅い場所を通っている。

発生前に数mmの変位

同機構によると、工事中は地表面の測定を毎日行っており、12日の陥没現場付近では発生の3日前から数mmの「微少な変位」が見られたため、道路交通への影響を見極めるために観測態勢を強化していた。ただ、この地表面の変位は「シールドトンネルの掘進に伴う一般的なもの」(同機構)だったという。30日の陥没現場付近では、事前に地表面の変位はなかった。

12日の陥没事故を受け、同機構は専門家らによる「新横浜トンネルに係る地盤変状検討委員会」を設置。24日に最初の会合を開き、原因についての調査検討を行った。会合に先立つ22日には陥没箇所の仮復旧も完了した。2回目の陥没はその矢先に起きた。

2つの現場はバス停1つ分ほどの距離しか離れておらず、新横浜駅や横浜アリーナにも近い通行量の多い場所だ。立て続けに発生した陥没に、30日に現場付近を歩いていた男性は「2回も続くと、やっぱりちょっと怖い」と話した。

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