熊本・鳥インフルで生かされた3年前の教訓 なぜ関係者は「影響は限定的」と口をそろえるのか
熊本県球磨郡の養鶏場で4月12日、鳥インフルエンザの感染が確認され、県は合計11万2000羽を殺処分した。2011年に宮崎県や三重県など8県で猛威を振るった鳥インフルだが、「今回の影響は限定的」と、食品や外食など関連の業界関係者らは口をそろえる。
その理由の一つが、熊本県という発生場所だ。国内のブロイラーの年間出荷羽数に占める同県の割合は2%強。「現状は球磨郡だけなので、影響はさらに軽微」(食肉加工大手)というわけだ。
迅速な初動対応の背景
また、3年前の流行を受けて改正された家畜伝染病予防法も効いている。伝染病で家畜を処分した畜産家に対し、従来は損失額の8割しか手当金が支払われなかったが、法改正で満額補償となった。これが畜産家の早期通報を促し、迅速な初動対応を可能にした。
前回は2~3日置きに別の養鶏場で相次いで感染が発覚したが、今回は4月25日現在、新たな感染報告はない。封じ込めが奏功した格好で、早ければ5月8日に周辺3キロメートルのニワトリや卵の移動制限が解除される。
ただ、油断は禁物だ。折しも「4月は渡り鳥が大移動する時期。飛来場所次第で感染が拡大する可能性もある」(京都産業大学・鳥インフルエンザ研究センターの大槻公一教授)。足元のブロイラー価格は、昨夏の猛暑でヒナの出荷数が少なかったこともあり、3年前の価格を上回る高値圏で推移している。感染が拡大するようだと、食卓にも影響が出かねないだけに、封じ込めの徹底が求められる。
(「週刊東洋経済」2014年4月26日号<4月21日発売>の「ニュース最前線」に一部加筆)
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