カゴメ、農業で売り上げ100億円に王手 トマトバブルはじけても生鮮トマトは黒字拡大

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自社ブランドの生鮮トマトを育成

メタボリック症候群や悪酔い防止にトマトが効くとして、2012年に突如盛り上がった「トマトバブル」の反動で、今13年度は3割近い減益に沈みそうなカゴメ。第3四半期までの業績をみても、トマトジュースなどの飲料事業とトマトケチャップを中心とする食品事業の2本柱が、いずれも部門売上高、部門利益とも絶好調だった前年同期に比べて大幅ダウンした。

一方で健闘したのが、生鮮トマトの生産・販売を軸とする生鮮野菜事業、つまり「農業」だ。第3四半期までをみるかぎり、カゴメの生鮮野菜事業は売上高76.5億円(前年同期比8.5%増)と続伸。部門利益も6.6億円を上げ、前年同期比3.9%の小幅減益に踏みとどまった。

カゴメの今期の生鮮野菜事業は、第1四半期(2013年4~6月)にトマト市況が崩れて部門赤字が膨らんだものの、その後は市況が回復し、第2四半期(7~9月)・第3四半期(10~12月)とも前年を大きく上回る部門利益を計上した。通期では部門売上高93億円を見込み、年商100億円に王手がかかる。部門利益も、初の黒字化を果たした前12年度の8億円を上回る公算が強まっている。

創業100年目に「農業」再参入

「“生鮮野菜”を強化していく」――。1月1日に就任したカゴメの寺田直行社長は、昨年11月の社長交代記者会見でこう力を込めた。

カゴメといえば飲料やケチャップなど加工食品のイメージが強いが、そもそもの発祥は、西洋野菜の栽培に着手した創業者の蟹江一太郎氏が1899年、トマトの最初の発芽にこぎ着けたことにさかのぼる。

それから100年後の1998年、カゴメは事業部を立ち上げ、ふたたび生鮮トマトの栽培に乗り出した。一般法人による農業参入を容易にしたとされる農地法改正(2009年)に先立つこと10年。企業による農業参入の先駆例として知られる。

現在は農業生産法人など子会社3社、持分会社が1社のほか、トマトの品種や栽培技術を提供している7菜園(資本関係なし)を含めた全国11カ所で、「こくみトマト」「高リコピントマト」「ちいさなももこ」などの自社ブランドでトマトを生産。東京都内など全国のスーパーで販売している。この生鮮野菜事業が連結決算上で黒字化を果たしたのは2012年度になってからだが、「(連結対象ではない)持分会社も含めれば、10年度からすでに黒字化していた」(カゴメ)という。

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