悩めるビジネスマンに勧めたい「第3の思考法」 複雑な問題にベストの判断を下すには?

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トリセツ③ 目的を明確にする

無意識思考を無意識に行うためのトリガーとして、意識的に「目的意識」を持っておく必要があります。単に情報をつめこみ、放っておけば、勝手によい選択、よい結果がひらめくというわけではありません。

自分は何を決めなければならないのか、という点が明確になっていないまま、無意識思考を行おうと別のことに従事する時間を確保したところで、無意識思考は始まりません。よい結果を導き出せず、ただ時間を消耗するだけになってしまいます。

無意識思考を起動させるためには、「何について考えるか」という目的意識を、自分自身が明確に持っておくことがとても重要なのです。

無から有は生まれない

ここで1つ、みなさんが誤解しがちな点について、ご説明しておこうと思います。

無意識思考について説明をするときによく言われるのが、「無意識に思考しているというより、単に注意をそらされて、新たな気持ちで選択に向き合うことで、よい選択ができているだけなのでは?」という疑問です。

例えば、新しい企画について考えてもアイデアが湧かないようなとき、デスクを離れて、コーヒーブレイクを挟み、気分を一新して仕事に戻ると、いいアイデアが次々と湧いてきたというような現象は、実際によくあることです。これは心理学で「セットシフティング」、または「フレッシュルック」と呼ばれます。

『Third thinking 〜無意識思考〜 最先端の脳科学・心理学研究が証明した“最強の思考法"』(あさ出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

しかし、この現象と無意識思考が明確に異なるのは実験でも証明されています。

無意識思考では、「思考」が実際に起こっているのは間違いありません。もちろん、無意識思考を行うための情報は事前に頭に入れておく必要があります。いくら無意識思考を使ったところで、無から有は生まれません。

目的を明確にし、情報を十分に入れておけば、あとはほかのことをしているうちに、自ずと無意識思考が最善の選択をしてくれる。まさに「果報は寝て待て」というわけなのです。

無意識思考は誰にでもできます。複雑な意思決定で最善の答えが出せる、そして斬新なアイデアを生む究極の思考法。それが、無意識思考なのです。

影山 徹哉 京都芸術大学 客員教授

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かげやま てつや / Tetsuya Kageyama

1982年福島県郡山市生まれ。東北大学経済学部、同大学院研究科博士課程前期修了。東北大学加齢医学研究所人間脳科学研究分野研究員を経て、現職。専門領域は、脳科学、コーチング心理学、経営心理学。大学教員を務める傍ら、高校生向けの講義、一般向けの各種講演、個人コーチング、法人向けコンサルティングを行うなど幅広く活動している。

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