株価が再び急落するリスクは消えていない 今の景気回復はV字型でもL字型でもない

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出口戦略といえば、日本でも気になる動きがあった。それは内閣府が6月の月例経済報告で景気の総括判断を上方修正したことである。内閣府による景気判断は、景気の水準をさほど重視せず、前月との方向感変化にフォーカスする。それゆえ、今回のように深い傷を負ったケースでも、足元の方向感さえ改善していれば、その動きを反映し景気判断を上方修正することがある。

景気回復が鈍化、「レ」が「L」字型になるリスク

この判断はある意味妥当かもしれない。だが、コロナ禍の長期化が避けられそうにない現状、このようなタイミングで景気判断を上方修正すると「景気が回復しているから景気対策は不要」という暗黙のメッセージを送ってしまう恐れがある。

追加の経済対策をめぐっては、早くも政府高官から第3次補正予算編成について言及があるなど、現時点で空白は生じていない。とはいえ政府が警戒感を解くと、投資家としては、コロナ以前の状態を取り戻す前に政策当局が経済対策の手を緩めてしまうリスクを意識せざるをえない。

さて、冒頭で筆者は政策サポートの後退が金融市場を揺るがす展開を警戒しているとしたが、政府が景気対策の手を緩めれば、回復のカーブがフラット化してしまい「レ」が「L」字型になってしまう。そうした変化に対して、金融市場は脆弱さを見せるかもしれない。

藤代 宏一 第一生命経済研究所 主席エコノミスト

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ふじしろ こういち / Koichi Fujishiro

2005年第一生命保険入社。2010年内閣府経済財政分析担当へ出向し、2年間『経済財政白書』の執筆や、月例経済報告の作成を担当。その後、第一生命保険より転籍。2018年参議院予算委員会調査室客員調査員を兼務。2015年4月主任エコノミスト、2023年4月から現職。早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。担当は金融市場全般。

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