100億円寄付を即決、ユニクロ柳井氏の「危機感」 本庶氏と山中氏の医療研究に強力なサポート

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「コロナは100年に一度の危機。今から必ずスタグフレーション(景気悪化とインフレの同時進行)や、社会的・経済的問題が出てくる。そういうときに国には縛りがあってできないことがたくさんある。だが、個人や企業なら自由自在にできることがある」。柳井会長は京大での会見でこう強調し、政府のコロナ対策について「残念ながら遅すぎるし規模が小さい。長期的、世界的な視点がまったくない」と批判した。

新型コロナは世界中に店舗を展開するファストリにも、大きな打撃となった。国内外で多数の店舗は一時休業や大幅な客数減を余儀なくされ、同社の今2020年8月期決算は17期ぶりの減収となる見通しだ。瞬時に世界中へと拡大した感染症は、ファストリが展開するような小売りのビジネスは平穏な社会のうえに成り立つという事実を改めて突きつけた。

自由に使えるお金がもっと必要

足元でユニクロの店舗売り上げは回復基調にあるものの、第2波が発生すれば厳しい業績が長引くことは避けられない。それだけに柳井会長の心中では、社会的な問題解決に向けて政府に頼るままではなく、今回のような寄付などを通して経営者自らが行動を起こす必要性を強く感じた側面もあったとみられる。

「ビジネスも研究も最終的目標は、世の中のため、人のため、そして常識を越える(ものを生み出す)ため。本当は国からもっと、本質的な課題や問題の研究に対して自由に使えるお金が出ないといけない」とも指摘した柳井会長。京大への100億円の寄付はその金額以上に、柳井会長の強いメッセージが込められている。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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