一方で、こうした状況下でも、スマートフォンの差別化材料となる画像センサーなど、アフターコロナを見据えた戦略投資は継続していく必要がある。その意味において、日本企業トップのネットキャッシュは大きな強みとなりそうだ。
2位は、任天堂の1兆2167億円(前回は1兆0829億円)。2020年3月期はゲーム機「Nintendo Switch」シリーズの販売台数が大幅に伸びたことに加え、「ポケットモンスター ソード・シールド」「あつまれ どうぶつの森」といった人気タイトルの続編が好調な売り上げを記録した。
その結果、営業利益は3523億円(前期比41.1%増)となり、キャッシュも大きく積み上がった。
3位は、半導体シリコンウエハで世界首位に立つ、信越化学工業の1兆0644億円(前回は1兆0274億円)。2020年3月期の営業利益は4060億円で、前期に比べて0.6%の微増だった。
同社のIR資料には「バランスシートの強みを生かして、決定した投資案件は計画に沿って実行していく。適時適切な投資を遂行してコロナ禍後に備える」とあり、潤沢なキャッシュを元手に一段と競争力を高めていく構えだ。
以上のトップ3は、いずれもネットキャッシュが1兆円を超える結果となった。以降もトップ10圏内には、4位のキーエンス、6位のファーストリテイリング、8位のファナックと、日本を代表する有力企業が並ぶ。
潤沢なキャッシュをどう使う?
2008年秋のリーマンショック時に頻発したのが「黒字倒産」だ。決算上の業績は黒字なのに、資金繰りが急速に悪くなった企業が何社も倒産した。逆にいえば、本業がいくら赤字であってもキャッシュが回り続けていれば、企業が潰れることはない。
一方で、ネットキャッシュが積み上がっていることだけを単純に喜べない。コロナ後を見据えれば、新しい時代に求められる製品・サービスの開発に向けた投資にも、潤沢なキャッシュを回していく必要がある。
その意味において、今回のランキングはアフターコロナの有望企業を探す、1つの手がかりになるかもしれない。それでは、最新ランキングを見ていこう。