8億円でキリモミ降下、自壊する「みんなの党」 渡辺喜美代表が辞任、このあとどうなる?
そんな彼らからやや離れて、もう一人の女性議員である行田邦子氏が座っていた。行田氏は民主党からみどりの風を経て、13年の参院選前にみんなの党に参加した。渡辺氏が「一本釣り」をしたいわば「お気に入り」。入党したばかりの行田氏が両議院総会に初めて出席したとき、「彼女の隣に立っていた渡辺氏がやけにうれしそうだった」という話もある。だが、そんな行田氏も渡辺氏の代表辞任を求めた。地元の埼玉県では久喜市長選などの地方選を控えていたが、8億円問題が勃発して以来、ポスターなどが破られてしまい、とても戦いにならなかったからだ。
行田氏と同様に、かつては渡辺派だった三谷英弘氏も、渡辺氏から距離を置き始めている。弁護士でもある三谷氏を8億円問題調査チームの責任者に指名したのは渡辺氏本人。だが、肝心の資料の提出にも協力的ではない。そんな様子に三谷氏はうんざりしているようだ。当初15日に報告書を発表するはずだったが、25日に延期。時間をかけて十分な調査を目指す。
存亡の危機続く
浅尾氏は14日夕方に新しい役員構成を発表し、党務の要である幹事長には水野賢一氏を起用した。これも波紋を呼んだ。「水野氏はまゆみ夫人とツーカー。情報が筒抜けになる危険性がある」と危惧する若手が多いのだ。
しかし、渡辺氏と近い議員は多く、渡辺カラーを排除するのは容易ではない。そのため浅尾氏は「全員野球」で党内融和を目指す方針だ。
それにしても、渡辺マネーを調べると何が出てくるのだろうか。全容が明らかになれば、「みんなの党だけでなく、(みんなから昨年12月に分裂した)結いの党も潰れかねない」とささやかれている。
渡辺氏の個人商店だったみんなの党は、すでにキリモミ降下に入ったといっていいのかもしれない。
(週刊東洋経済2014年4月26日号〈21日発売〉「核心リポート03」に一部加筆。写真:吉野純治、記事内容は4月15日時点のものです)
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