小池都知事「満員電車ゼロ未達成」の必然的要因

2階建て電車は論外、外出自粛で達成したが

東京都知事が周辺自治体と公的に会合を持つ場は2つある。「関東地方知事会」と「九都県市首脳会議」だ。「関東地方知事会」は東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県を含む10都県が参加する。議事録を追うと、主に国への要望を取りまとめる会議のようだ。広域の課題を話し合う場でもある。しかし東京都からオリンピックに向けた広域連携の話はあっても、満員電車ゼロに向けた要請はない。

九都県市首脳会議は東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市、相模原市の首長が参加する。首都圏サミットとも呼ばれている。こちらのほうが満員電車ゼロの連携にふさわしい。2017年11月13日の第72回会議で「鉄道の混雑緩和、快適化に向けた取組」が提案された。東京都ではなく、福田川崎市長からの提案で、小池知事、林横浜市長が賛同を表明した。

この取り組みについては2018年の第74回会議まで報告書に記載されていた。結論としては、九都県市は鉄道事業者への対策要望、時差Bizの賛同を示すためポスターに連名し掲示する程度の取り組みであった。鉄道事業者への設備投資支援は議論されていない。今後は「都心部等で企業に対し働きかけ、周辺の自治体で県民・市民への働きかけが重要という認識の下、九都県市がそれぞれの状況に応じた効果的な普及啓発を連携して行っていく」と締めくくられている。それで効果があるかどうかも疑問だし、そもそも履行されたかわからない。横浜市に住む筆者は、鉄道の混雑緩和、快適化に向けた取り組みを聞いたことがない。

スムーズビズ推進期間中の2019年8月20日、東京都都市整備局は「これからの混雑緩和方策についての知事と鉄道事業者の意見交換」を開催した。議事録を読むと、意見交換というよりも「電車に乗りませんッ」の小池知事に対して、鉄道事業者が丁寧に取り組みを説明する催しであった。鉄道事業者がコストと知恵を出して尽力してきたと説明し、わからないところを小池知事が質問する。そこまでで終わりで、東京都が鉄道事業者へ支援を検討するとか、なにか約束するという内容ではなかった。

在宅勤務増は追い風に

さて、不幸にも発生してしまった新型コロナウイルス禍において、テレワーク、リモートビジネスの有効性が広く認知された。在宅勤務者が増えれば通勤者が減り、満員電車は空くかもしれない。今後、満員電車を減らす取り組みとしても「在宅勤務の推進」は重要だ。しかし前述のように、都外からの通勤者に対する取り組みも必要だ。これは東京都だけでできる話ではなく、九都県市首脳会議がテレワークを支援する必要がある。

次期東京都知事には、これまで実現できなかった満員電車ゼロに引き続き取り組んでほしい。そのためには鉄道事業者への金銭的支援も検討すべきである。

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