小池都知事「満員電車ゼロ未達成」の必然的要因

2階建て電車は論外、外出自粛で達成したが

6月14日に記者会見する小池百合子東京都知事(写真:時事通信)

東京都知事選挙が7月5日に迫り、2016年8月から約4年にわたって都政を担う小池百合子知事の実績を振り返る記事が増えている。交通分野では「満員電車ゼロ」の公約が達成できずに終わろうとしている。新型コロナウイルス感染症対策で外出自粛となり、在宅ワークの取り組みもあって通勤電車の混雑は劇的に解消した。しかしこれで「満員電車ゼロ」の公約達成としたら冗談が過ぎる。緊急事態宣言解除後、通勤電車は混みはじめた。元どおりの混雑にはならないとしても満員電車は復活するだろう。

「満員電車ゼロ」はなぜ達成できなかったか。その理由は主に2点だ。「ソフト解決策の傾倒」「他県との連携不足」である。

「2階建て電車」で失笑買う

「満員電車ゼロ」の公約で鉄道ファンならずとも失笑を買った話が「2階建て通勤電車」だった。同じ輸送人数で床面積が倍になれば、計算上の混雑率は半分になる。しかし現実的な選択ではなかった。

かつてJR東日本も全車2階建ての215系電車を採用した。東海道本線の混雑解消が目的だった。しかし、車内に階段を設置する構造上、乗降扉は片側2カ所になり、そこに上下階の利用者が集中するため、停車時間が延びてしまう。また、電動車は機器を搭載するため階下席がなく、2階建て車両も階段に場所を取られるため、定員が2倍にはならない。215系は定員制通勤ライナーや行楽シーズンの臨時列車に限定され、通勤電車の主役になることはできなかった。

現実の2階建て通勤電車は、東京の通勤需要や運行頻度には対応できない。しかも、小池知事の“ブレーン”が構想した2階建て電車は、車両だけではなく、プラットホームも2階建てにすることで、1階と2階で同時に乗り降りできるようにするという、想像の斜め上を行く構想だった。車両の開発と異なり、設備投資額は途方もない。技術的には可能かもしれないけれども、運休期間をどうするか、非常時の2階からの脱出はどうするかなど懸念が多く、現実的ではない。

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