法改正で復興事業の用地取得をさらに早めたい シリーズ用地買収② 自民党・西村明宏氏に聞く

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――同じく3月25日付けで、野党4党からも復興特区法改正法案が提出されました。

迅速化の方向性は同じだ。防災集団移転促進事業など5~49戸の集団住宅についても土地収用を可能にした点では共通している。このため、被災地のことを考え、早期に法案を成立させる観点から、与野党間で一本化に向けた協議を続けてきた。土地収用では「緊急使用」という手続きを用いることで工事着手を前倒しできる。その利用を促進するために緊急使用の期間を延長することは与野党とも共通であったが、野党案では現行の「6カ月」を何度でも更新できる案だった。

土地収用手続きを迅速化

ただ、緊急使用はあくまで「緊急」の措置であり、収用裁決がなされない状態が長期間続くのは望ましくないので、調整の結果、与党案のとおり、「6カ月」を「1年」に延長することとなった。同様の問題意識から、早期の収用裁決の努力義務を設けるとともに、土地収用の裁決申請時には損失補償の見積もりなどの記載や土地調書の添付を不要にすることでスピードアップを図るという与党案の内容はそのまま盛り込まれている。一本化された法案が4月17日の衆議院本会議で可決され、今後、参議院で審議される。

――民主党と「生活の党」は法改正の第二弾として用地取得の抜本改革を狙った法案も提出しました。

収用委員会の強化でスピードアップを図ろうという中で、用地委員会という別の組織を作ろうとしていることには疑問を感じる。また、土地の使用・取得申請の情報を2週間縦覧するだけで取得を進めることで本当にいいのか。憲法上の財産権の問題を含めて、国会審議を通じて詰めていくべき点は少なくないと見ている。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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