セブン&アイが頭を悩ます「お荷物事業」の行方 見えぬ次の成長柱、グループ再編待ったなし

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ただ、今後も決して盤石とはいえない。

収益柱である国内のセブン-イレブンは、冷凍食品売り場の拡大など新しいレイアウトを導入しているが、2013年に投入したセブンカフェ以降、ヒット商品を生み出せていない。店舗網拡張を進めた結果、近隣のセブン-イレブン同士で顧客を奪い合うケースも頻発し、1店舗あたりの平均売上高は頭打ち傾向にある。

加盟店は人件費の高騰に苦しんでおり、その負担を軽減するため、2020年3月から本部が徴収するロイヤルティーの仕組みを変更した。これが2021年2月期以降、年間約100億円の本部費用負担としてのしかかる。

次の成長柱として期待するアメリカのセブン‐イレブン事業はハンバーガーやホットドッグといったオリジナル商品の販売が伸び、2020年2月期の営業利益は前期比9.5%増の1216億円と勢いづいている。だが、2020年3月にはアメリカコンビニ業界3位のスピードウェイ買収を検討したが結局見送り、成長戦略はつまづいた形となった。

リストラ頼みの経営戦略

そうなると、利益拡大に向けた頼みの綱はやはりリストラだ。特に注目を集めるのが、イトーヨーカ堂とそごう・西武である。

イトーヨーカ堂は2020年2月期の営業収益が1兆1851億円(前期比4.1%減)、営業利益は65億円(同38.5%増)で着地したが、2016年10月に公表した中期経営計画で2020年2月期の目標値として掲げた営業利益150億円の半分にも届いていない。

6月17日にオープンしたヨークフーズ新宿富久店(記者撮影)

そこでイトーヨーカ堂を中心とするスーパー事業では、効率性向上に力を注ぐ。6月1日には、首都圏に構えるグループ傘下のスーパーを首都圏の食品スーパー事業を担うヨーク社に集約。食品スーパー「食品館」やディスカウントストア「ザ・プライス」など、従来の業態の垣根を越えた新たな店舗作りを目指すと同時に、セントラルキッチンの導入による効率化を進める。

ヨークの岡田太郎執行役員は6月17日に開店した「ヨークフーズ新宿富久店」(東京都新宿区)について、「グループ内の各業態の強みを生かして、生産性を高めていく」と強調した。

一方、地方ではイトーヨーカ堂のシェアが低く、店舗閉鎖の決断を迫られそうだ。セブン&アイHDは「低採算の33店舗でグループ内外企業との連携による業績改善や閉店を検討する」という方針を示しており、店舗撤退にどこまで踏み切れるかが焦点となる。

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