セブン&アイが頭を悩ます「お荷物事業」の行方 見えぬ次の成長柱、グループ再編待ったなし

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そごう・西武は2020年2月期の営業収益が6001億円(前期比2.5%減)、営業利益が1.7億円(同94.7%減)にとどまり、目標とした2020年2月期の営業利益130億円の1%程度でしかない。

そごう・西武については、2021年2月期に西武大津店(滋賀県大津市)など関西を中心に5店舗を閉鎖する。2005年に30店あった店舗網は、2021年2月末には10店舗まで減少する。秋田県と福井県の2店舗は残すが、店舗面積を縮小する計画だ。

そごう・西武にかける余力はない

2020年2月期に売上高1823億円を稼いだ中核店舗の西武池袋本店(東京都豊島区)に加え、そごう横浜店(神奈川県横浜市)やそごう千葉店(千葉県千葉市)は収益性や客数について4段階中、最上位の評価を下している。こうした主力店舗では、今後も化粧品や高級品、食品の販売強化のための投資が行われそうだ。

2019年10月に行われた決算説明会での井阪隆一セブン&アイHD社長。そごう・西武の閉店など、2020年3月以降の改革の方向性を示していた(撮影:今井康一)

一方、西武所沢S.C.(ショッピングセンター)(埼玉県所沢市)や西武東戸塚S.C.(神奈川件横浜市)では、改装を行いユニクロなどのテナント比率を高めている。ただ、業界内からは「視察に行ったがガラガラで、そのうちテナントも出て行くのではないか」との声も上がる。

ある小売業界関係者は「イトーヨーカ堂は売上高が大きいだけに、改善すればリターンが大きくなる。しかも、食品など生活必需品を取り扱っており、ターゲットとなる客の数が多い。だが、そごう・西武は主力店舗以外は業績が悪く、今後の期待値も低いため、首都圏の店舗は一部を除き売却するのではないか」と指摘する。

アフターコロナの時代には小売業全体が、これまでのビジネスモデルからの脱却を迫られる。リストラ頼みでは、利益成長もいずれ限界を迎える。これまでの「国内のセブン-イレブン頼み」という構図を変えることができるのか。セブン&アイHDに新たな試練が待ち受けている。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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