大統領選候補者へサイバー攻撃「諸外国」の狙い イラン、中国、ロシアの狙いとはいったい何か
2016年のロシアのアメリカ大統領選挙への介入は、アメリカ国民の民主主義や選挙への信頼失墜を狙ったものと考えられ、アメリカのみならずほかの民主主義国家にも強い衝撃を与えた。
2020年11月のアメリカ大統領選挙まで5カ月を切った今、再び選挙のサイバーセキュリティが問題になっている。しかも今回問題になっているのは、ロシアからのソーシャルメディアを使った世論操作のための活動だけではない。
トランプ大統領とバイデン候補の両選挙陣営へのイランや中国からと見られるサイバー攻撃も起きているのだ。次の政権が目指す政策を事前に知り、将来の交渉に備えるためと考えられる。
新型コロナウイルスによる多数の感染者や死者、失業者の増加、ジョージ・フロイド暴行事件後のデモと暴動で揺れ動いているアメリカに対し、外国からの大統領選挙への介入は一層激化するだろう。混乱を長期化させ、世論を操作し、選挙の正当性に国民が疑問を抱くようにさせる絶好の機会と捉えているはずだ。
中国とイランからの大統領選候補者へのサイバー攻撃
中国の政府系ハッカー集団がバイデン候補の選挙スタッフに、イランの政府系ハッカー集団がトランプ大統領の選挙スタッフに対してGmailを使ったなりすましメールを送っていた。グーグルは事前に司法当局や大統領選挙関係者に警告。その後、同社の脅威分析グループ長のシェーン・ハントリーが6月4日、自身のツイートで発表した。
両選挙陣営ともに、サイバー攻撃が仕掛けられていたことをメディアの取材で認めている。ただし、サイバー攻撃は成功しなかったという。
グーグルはサイバー攻撃が「最近」行われたと言っているが、具体的な時期は公表していない。狙われたのは、選挙スタッフ個人のGmailアカウントである。なりすましメールが送られたのは両選挙陣営とも2〜3人だが、ワシントンポスト紙によると、その中にバイデン候補は含まれていない。
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