外食で「閉店ラッシュ」、迫る経営破綻の危機 「いきなり!ステーキ」は企業存続の瀬戸際に

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6月1日には、ペッパー社に11.6%出資する第2位株主で、主要な仕入れ先である食肉卸・エスフーズの村上真之助社長個人から有担保で20億円を借り入れた。ところが、この借入金の返済期限は7月末。営業を一部再開した6月分の原材料費の支払いが7月20日に控えていることもあり、後藤課長は「7月20日から同月末が資金面の山場」と指摘する。 

同じく6月1日には、前期部門黒字のペッパーランチ事業を新設子会社に分社化した。外食業界では「この子会社を売って資金を得るつもりではないか」など憶測も飛びかう。

企業存続の瀬戸際に

ペッパーフードサービスは、当初5月15日に予定していた2020年12月期の第1四半期(2020年1~3月期)の決算発表を延期したまま、いまだに決算発表の予定日すら示していない。先行き不透明感が漂う中、企業存続の瀬戸際を迎えているといっても過言ではないだろう。

ほかの外食大手では、エー・ピーカンパニーも低迷している。居酒屋チェーンの「塚田農場」を中心に3月末時点で国内183店舗を展開する同社は、コロナ前からの不振もたたり、2020年3月期の売上高は230億円(前期比6.1%減)、営業利益4500万円(前期2.9億円の赤字)と低水準だった。

3月末時点の現預金は18億円と月商に満たず、自己資本比率も同14.5%にとどまっている。ほぼ全店を休業した4月2日から2カ月を経て、6月1日から営業を再開したが、回復には時間がかかると見られる。

比較的に安定経営を保っていた大手チェーンですら、先行きが怪しくなってきた外食業界。もともと企業の規模がそれほど大きくなく、効率性の低さを指摘する向きもあった業界だけに、この先は倒産が増えるだけでなく、これから企業の統廃合が加速するかもしれない。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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