外食で「閉店ラッシュ」、迫る経営破綻の危機 「いきなり!ステーキ」は企業存続の瀬戸際に

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いきなり!ステーキは厚切りの大きなステーキが安い価格で食べられることが人気となり、2017年ごろに立ち食いステーキブームを巻き起こした。しかし、度重なる値上げに加え、自社競合を考慮しない急速な出店拡大があだとなり、次第に消費者が離れていった。既存店売上高は2018年4月以降、25カ月連続で前年同月割れが続いている。

ペッパーフードサービスの2019年12月期の売上高は前期比6.3%増の675億円となったものの、7100万円の営業赤字に転落。純資産はわずか5.9億円、自己資本比率はわずか2%にまで低下した。その後、3月になって、資金繰りに懸念が生じていることなどを理由に、同期の有価証券報告書には「継続企業の前提に関する事項」の注記がついた。

追加閉店の可能性も

2020年12月期に入っても客数の減少は続いている。既存店売上高は2月が前年同月比で38.7%減、3月は48.9%減、4月の62.6%減と落ち込み幅が深くなっている。5月も50.6%減だった。

消費者離れが止まらない「いきなり!ステーキ」(編集部撮影)

5月に入ると、新型コロナの影響で直営店全店を休業。緊急事態宣言の解除を受けて5月15日から営業を順次再開しているものの、国内429店舗のうち108店舗がいまだに休業中だ(6月9日時点)。17店舗の閉店がすでに決定しており、同社のIR担当者は「現在休業中の店舗もこのまま閉店することもありうる」と追加閉店の可能性を否定しない。

既存店の極度の不振は、運営会社の資金繰りを直撃している。2018年12月期末に67億円あった現預金は、2019年12月期末に24億円まで減少。月商の半分以下しかない水準に落ち込んだ。さらに「足元では現預金が10億円未満にまで減少していてもおかしくない」(東京商工リサーチの後藤課長)という。

苦しい資金繰りを打開しようと資金調達も進めてきたが、状況は芳しくない。2019年12月27日にSMBC日興証券を割当先とする新株予約権発行を発表し、約69億円の資金調達を目指した。しかし、株価は12月27日の終値1294円から下落を続け、3月6日の終値は644円と、新株予約権の下限行使価額である666円を下回り続けている。6月12日時点で調達できたのは17億円にとどまる。

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