コロナ禍で「テレビ復権」が進んだ決定的証拠 データから探るメディアの「ニューノーマル」
大きく接触時間が増えたテレビだが、ジャンル別で見ると、コロナの情報収集ニーズの高まりによって、緊急事態宣言後、平日の接触率は「ニュース/報道」が54.2%、「情報/ワイドショー」が54.9%と、一気に伸びている。相対的に信頼度が高いと思われているテレビで情報収集をするようになり、それがゴールデンウィーク以降も定着したことがうかがえる。
一方、「ドラマ」が39.4%、「映画」が8.5%と、ゴールデンウィーク後の土日祝日の接触率が伸びていた。以前のように休日に外に出かけられなくなる中、家でじっくり楽しむコンテンツとしてのニーズが表れている。
再評価が進む過去のコンテンツ
テレビのドラマ接触率を見ると、緊急事態宣言以降、NHK以外では「SUITS/スーツ2」(フジテレビ系)、「美食探偵 明智五郎」(日本テレビ系)などの新作ドラマ以上に、「JIN-仁-レジェンド」(TBS系)、「野ブタ。をプロデュース」(日テレ系)、「恋はつづくよどこまでも胸キュン!特別編」(TBS系)、「春子の物語 ハケンの品格2007特別編」(日テレ系)など、過去のコンテンツをまとめた番組が高くなっている。
新たなコンテンツの制作が困難な中、ドラマの視聴を支えているのは再放送だ。中でも、TBSと日テレのドラマ接触率が高い。
また、パソコン・モバイルの土日・祝日の1日の接触時間(接触者当たり)を見ても、見逃し配信や過去のコンテンツが見られる「Paravi」(24分増、パソコン)、「フジテレビオンデマンド」(12分増、パソコン)、「U-NEXT」(21分増、モバイルアプリ)などが高くなっている。前回の放送時に視聴した人、または視聴しなかった人が、触れる機会が増えたことで、過去のコンテンツが見直されている可能性がある。
提供側は「パソコン・モバイルで評価の高かったコンテンツをテレビで利用すること」など、生活者のニーズへの対応が望まれる。テレビにとっては、情報を提供するメディアとしての側面とコンテンツ面の双方の価値が見直されるチャンスともいえる。
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