グッチ「ファッションショー減らす」宣言の衝撃 「秋冬」「春夏」と言う呼び方も再検討

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もしかしたら、すでにそのときが来ているのかもしれない。ファッションショーという別世界で、長いときでは1年間に2カ月半をも費やすため、個人的なコストも業務上のコストも増加しており、デザイナーや小売店、編集者らは重圧に疲れ、真に意味のある仕事を創造する余裕がないと嘆いている。

言うまでもなく、二酸化炭素排出量も増える。ファッション・ウィークの数を減らしたほうが、人間と環境への負荷の点で、より持続可能になる。

ファッション業界の行く末によっては経済にも影響

ファッションショーは近年、洋服によるアイデンティティーの表現というより、スマートフォンに記事を提供するためのマーケティング・イベントのようになっている。しかし、変革を行う場合に論点となるのは、ショーそのものだけではない。ショーを開催する自治体にとって、ファッション・ウィークが大きな収入源となっていることも論点となる。

2019年に、ニューヨーク州選出の下院議員、キャロリン・マロニーが、非営利団体「ニューヨーク市・エコノミック・ディベロップメント・コーポレーション」のレポートを取り上げ、ニューヨーク・ファッション・ウィークは1年間に6億ドル近い収入をもたらしていると指摘した。

ホテルやレストラン、セキュリティー・サービス、生花店など、関連するさまざまな産業でも売り上げが生じるためだ。その経済的インパクトは、スーパーボウルやテニスの全米オープンを上回るということになる。

同様のことが、ファッション・ウィークが開催されているほかの都市でも言える。もし、ショーが開催されなくなったら、パンデミックで打撃を受けている都市に、さらに影響が及ぶだろう。

これが変革をしない理由とはならないが、変革には大きな副作用があることは確かだ。どのブランドも、どんな産業も、ほかと関わりを持っている。ファッション業界が次に何を目指すかについて対話を進める中では、この点は覚えておく価値があるだろう。

(執筆:Vanessa Friedman、翻訳:東方雅美)
© 2020 The New York Times News Services

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