グッチ「ファッションショー減らす」宣言の衝撃 「秋冬」「春夏」と言う呼び方も再検討

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しかし、今年だけではなく、今後についても長期的に考え直すとしたのは、グッチが初めてだ。

これにより、従来の既製服のファッションショー全体が実現可能なのか、見直さざるをえなくなるかもしれない。これまでは、毎年9月から10月まで、そして2月から3月までそれぞれ4週間、ニューヨークからロンドン、ミラノ、パリと移動して開催されてきた。

「季節に従うという古びたやり方をやめて、私の表現欲求に近い、新しいリズムをショーに取り戻す」と、ミケーレは日誌に書き、その引用が「Notes from the Silence(静寂の音)」というタイトルでグッチのインスタグラムに掲載されている。

最初のショーがいつ開かれるかは不透明

ミケーレによると、こう考えたのはロックダウンでローマの自宅にいたときだったという。この頃は「時間があった。自分の仕事やクリエーティビティー、会社の将来などについて考えるという、これまでには決して持てなかった時間があった」。そして、従来の息もつけないようなシステムでは、自分の「クリエーティビティーが危機にさらされる」と感じたという。

ミケーレがCEOのマルコ・ビッザーリと話した後、グッチはショーの回数を減らすという決定を下した。ただし、最初のショーがいつ開かれるのかはまだ不透明だ。

ミケーレによると、この9月にショーを開催するのは不可能だという。だが、7月17日、ミラノのデジタル・ファッション・ウィークの期間に、クルーズ・コレクションで発表するはずだったスタイルを、オンラインで公開するという。ミケーレは、結局のところファッションショーにふさわしい時期は春と秋だと思っているが、明確な日程はこれから決めると話す。

また、「私は無政府主義者ではない」とし、ほかのブラントやミラノ・ファッション・ウィークの主催者であるイタリア・ファッション協会(Camera Nazionale della Moda)とも話をしており、いまも対話は継続中だと述べた。

こうしたことすべてが示唆するのは、これまでのファッションショーのあり方が大きく変わる可能性が高まっているということだ。

次ページ関係者はすでに疲弊している
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