日本も他人事でない「香港騒乱」の歴史的ヤバさ チベット系日本人が訴えたい世界情勢の現実

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当然、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダの4カ国が共同声明を発表するなど、主要各国はこの動きに反対している。しかし先に述べたように、自分たちの国内事情で手いっぱいであり、大きな干渉ができていないのが現状である。

残念ながら、この香港騒動はしばらく続くことになるだろう。加えて、台湾に対しても手を伸ばしていくはずだ。

中国のこうした動きを、世界はただ受け入れるべきなのか。中国が世界の覇権国になれば、共産主義を求められ、人権が否定され、思想や宗教は弾圧され、なにより表現や結社の自由も徹底的に制限されることが考えられる。

実際、中国の影響を大きく受けているアフリカの国々では、言論弾圧のようなことが起きている。つまり、60数カ国に及ぶ中国の経済圏構想「一帯一路」でも、同様の事態が起こりうるわけだ。

私たちは香港騒乱にどう向き合うべきか

『2020年、世界の覇権争い 〜世界はどう動き、日本はどうすべきかを読み解く〜』(あさ出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

中国のこれからの歩み方次第で、アメリカのスタンスも変わり、アメリカが日本に求める立ち位置も変わるだろう。当然にして、アジアのあり方も変わる。決して他人事ではない。

米中の覇権争いを天秤にかけ、うまく「漁夫の利を得よう」と考える人も少なくないようだ。だが選択を誤れば、自らの自由と民主主義も含む、大きな犠牲を払うことになりかねない。

世界で何が起きているのか、世界の秩序がどのように推移していくのかを見極めることは、ビジネスパーソンにとって欠かせない知見となる。自分たちの未来と自由を守るためにも、国際問題から目を離さないことだ。

ペマ・ギャルポ 拓殖大学 国際日本文化研究所 教授

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ぺま ぎゃるぽ / Pema Gyalpo

1953年、チベットのニヤロンに生まれる。1959年、中国のチベット侵攻に際し、ダライ・ラマ法王のインド亡命と同時期にチベットを脱出し、自身もインドに亡命。1965年に来日し、亜細亜大学法学部を卒業。その後、上智大学大学院、東京外国語大学アジア・アフリカ語学研究所に学ぶ。1978年、チベット文化研究所所長に就任。1980年、ダライ・ラマ法王アジア・太平洋地区担当初代代表に就任。1999年、モンゴル国立大学より政治学博士号を取得。2005年に日本に帰化し、現職

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