ロコンド、爆売れ「通販スニーカー」を生んだ裏側 人気ユーチューバーとのコラボがSNSで話題沸騰

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実はここ数年、ロコンドを取り巻く経営環境は決して順調ではなかった。2017年に株式上場を果たし、安定的な利益を稼ぎ出した矢先の2018年4月、田中社長は認知度向上のためテレビCMを2年間集中投下する方針を表明。年間最大で10億円超のCM費用を見込んで営業赤字に転落する見通しを発表したところ、一部の株主から批判が殺到し、田中社長のTwitterが炎上するなどの事態も発生した。

批判を受けながらも、デヴィ夫人が出演するテレビCMを全国で放映。2018年は認知の広まりとともにLOCONDO.jpの取扱高も拡大したが、2019年に入って以降はCMの押し上げ効果も徐々に薄れだした。その結果、2020年2月の会社全体の商品取扱高は、中期経営計画で掲げていた目標値を下回る結果となった。

オリジナル商品の企画・開発を本格化

CM訴求力の問題だけでなく、2010年代半ばから急激に伸びた衣料品や靴の国内EC市場の拡大スピードが2019年頃から鈍化したことも背景にあった。「市場が以前ほど伸びなくなると、さらなる成長を目指す上では他のECモールとの差別化がカギとなる。単なる値下げ販促や返品無料などのサービスは他社に真似されやすく、商品面での差別化が不可欠になった」(田中社長)。

そこでロコンドは2019年後半からテレビCMを減らし、オリジナル商品の企画・開発を本格化させる方向に転換。幅広い世代への影響力の大きさから、インスタグラムとYoutubeを活用した発信を軸に考えた末、人気ユーチューバーであるヒカルなどとのコラボ企画としてオリジナル商品を投入することを決断した。

EC事業者であるロコンドは、社内に靴の企画・開発に関するノウハウがほとんどなかったが、2018年10月に婦人靴卸の三鈴商事を子会社化。2020年3月には同社を吸収合併し、三鈴が持つ企画開発力や、工場や素材メーカーなどとの取引ルートを自社に取り込んだ。今回のヒカルとコラボした靴も、こうした三鈴のノウハウをフル活用した。

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