フランス「自国語愛」にラジオ局が悲鳴上げる訳 厳しすぎる規制にラジオ局が救済求める

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上位3曲に共通するのはフランス語でなく、英語の楽曲であることだ。ランキング上位100のうち、フランス語曲は38にとどまる。上位に日本語の楽曲がズラリと名を連ねる日本の音楽市場と彼我の差は大きい。

リスナーのニーズを反映させようと英語の曲へ傾斜するのは、理にかなった番組編成ともいえる。フランスのある民間ラジオ局の幹部は「(中高年が主なリスナー層の)幅広い番組編成をしているわれわれのような一般局であればクォータを守るのも難しくないが、音楽主体の局だとそうはいかない」と話す。

そもそもフランス語曲が少ないジャンルも

フランスには日本と異なり、音楽ばかりを流し続ける数多のラジオ局が存在する。ジャズ、クラシック、EDM(エレクトロ・ダンス・ミュージック)など取り扱うジャンルもさまざまだ。

しかも、EDM、ロックなど若者の支持を集めるジャンルには、そもそもフランス語の楽曲が少ない。仮面にヘルメットという一風変わったコスチュームでおなじみのEDMのダフトパンクはフランス人デュオだが、歌うのは英語の曲だ。このため、クォータで定められた「フランス語楽曲」には該当しない。

パリ郊外のラ・デファンスに住むシナ・アカ・マリー・ダボディさん(36)は出勤前と帰宅後の夜9時以降、ラジオに耳を傾ける。「フランス語よりも英語の音楽のほうが好き。フランスではアメリカ人ラッパーなどが人気」と話すマリーさん。「クォータ制があるため、どこの局でも流れるのは同じ曲ばかり」。

英語の曲をよく聞いているというマリーさん(マリーさん提供)

高いハードルのクリアに腐心するラジオ局。フランス議会の下院議員が19年にまとめた報告には、「クォータで定められた基準をクリアするため、数年前から音楽を流す時間を減らす一方でトークに割く時間を増やすケースなどが確認されている」との記述もある。

「フランスのスタジオを利用し、フランス人が歌い、フランスのエンジニアを雇用して制作、販売もフランスの流通ルートに乗せる。それでもフランス語の曲でないという理由だけで、クォータの対象にはカウントされない…」。一部にはこうした不満がくすぶっているという。

ラジオ局側には「スポティファイ、ディーザー、アップルミュージックなどの音楽配信サービスがクォータ制の適用外なのは不公平」との思いもある。音楽大国のアメリカほどではないが、フランスでもストリーミング中心に音楽配信が急速に浸透。デジタルでの楽曲購入は全体の6割あまりに達し、CDやレコードなどの「フィジカル」での購入を上回っている。

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