新型ハリアーにみるRAV4と全く異なる価値観 ライバル不在の「SUVクーペ」という新形態

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そんなSUVクーペ的な新型ハリアーのライバルとなるモデルは何だろうか。

車格でいえば、マツダ「CX-5」、スバル「フォレスター」、日産「エクストレイル」、ホンダ「CR-V」がライバルに該当する。もちろん兄弟車のRAV4も同じクラスだ。いずれも2.0~2.5リッターのエンジンを搭載し、ディーゼルで勝負するCX-5を除けば、ハイブリッドも設定される。価格は、どれも300万円台が中心だ。

しかし、そうした国産SUVのほとんどは、4WD性能や実用性を重視しており、SUVクーペと呼べるほどのルックス重視の姿勢はない。

そんな中で、あえてライバルを1台挙げるとなればマツダのCX-5だろう。CX-5の特徴のひとつは、魂動デザインと呼ぶ優美なルックスにあるからだ。しかし、そんなCX-5もSUVクーペというほどではない。

もっとも近いのは「CX-30」だが……

では、もう少し視野を広げてみよう。一回りコンパクトなクルマには、近い考えのモデルが存在する。マツダ「CX-30」、三菱「エクリプスクロス」、ホンダ「ヴェゼル」、トヨタ「C-HR」だ。エンジンは多くが2.0リッター以下で、価格設定も200万円台前半からとなる。

これらのモデルは、実用性よりもデザイン重視で作られている。つまり、同じSUVクーペと呼べるような存在だ。

中でも「マツダ3」と基本的なメカニズムを共有するCX-30は、2019年10月にデビューしたばかりという比較的フレッシュな存在である。また、マツダ自慢の魂動デザインの洗練も進んでおり、SUVクーペとしてハリアーの強いライバルになるのではなかろうか。

マツダ「CX-30」(写真:マツダ)

しかし、ハリアーとCX-30では、全長が30cm以上も違う。当然、サイズの大きいハリアーのほうが室内空間(特に後席)も荷室も広いため、SUVクーペといえども実用性ではハリアーが上になる。

また、そもそもの販売力は圧倒的にトヨタのほうが上だ。そうやすやすとハリアーの顧客がCX-30に流れていくことはないだろう。

つまりハリアーには、ほとんど強力なライバルが存在しないのだ。アウトドア志向を強めたRAV4が登場したからこそ、トヨタはハリアーをより都会的でライバルのいないSUVクーペというジャンルに踏み込むことができたと言える。

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