このように対象のスポーツをゲーム化したタイトルを利用し、試合や大会の再開を待ち望むファンのために、イベントを興しています。ゲームはスポーツの代替にはなりえませんが、選手によるファンサービスとしての役割は十分に果たしてくれています。さらに、大会の賞金がすべて寄付されたり、寄付をする権利の獲得となっていたり、チャリティイベントとしての側面もあります。
そんな中で注目度が高まっているのがモータースポーツです。モータースポーツ界もコロナ禍で大会やレースが開催されておらず、ゲームで対応しています。モータースポーツの企画運営を行うXase Youth Zone社は「eモータースポーツ オールスターバトル」を、F1は公式タイトルである『F1 2019』を使用し「F1バーチャルグランプリ」を開催しています。ほかにもF1ドライバーによるレース「Race for the World」も開催されました。
レースゲームはほかのゲームとは違った状況にあります。それはほかのスポーツゲームはあくまでもゲームとしての佇まいですが、レースゲームはシミュレーターとしても十分機能しており、レーシングカーを操作するという点では変わりません。したがって、シムレーサー(レースゲームのプロゲーマー)とレーサーの差があまり出ないことにあります。
実際、eスポーツ大会に参加するプロレーサーも居れば、実車レースに挑戦し、シムレーサーからプロレーサーになった選手も居ます。サッカーや野球の場合は、eスポーツのプロゲーマーとプロスポーツ選手がゲームで対戦すれば、当然プロゲーマーが圧倒的な強さを見せますし、サッカーや野球の試合をすればプロゲーマーは手も足も出ないわけです。
したがって、プロレーサーが出場するeスポーツイベントは、エキシビションだったとしてもお遊び感覚ではなく、本来のレース並に真剣勝負となるわけです。そして、プロゲーマーとの対戦も実力伯仲の熱戦を繰り広げられます。場合によっては、操作に慣れているプロゲーマーがプロレーサーを圧倒することもあります。つまり、レースゲームに限っては、ある程度レースの代替としてプレイができるわけです。
さすがにモータースポーツのすべてが今後eスポーツ化することはないでしょうが、今後はeスポーツのレースが、数あるモータースポーツの大会やグランプリと肩を並べるレースのひとつとして扱われる可能性はあるのではないでしょうか。
新たなステージを目指して
新型コロナウイルスの影響がいつまで続くかわからず、スポーツエンターテインメント事業は見通しがついていないのが現状です。eスポーツをスポーツの対抗として考えるのではなく、うまく取り込んでいくことが存続のカギとなるのかもしれません。
IOCのトーマス・バッハ会長は、eスポーツのオリンピック採用に否定的な意見の持ち主でしたが、コロナ禍を受けた現在ではeスポーツのオリンピック採用について前向きな意見を述べています。
eスポーツもフィジカルスポーツもしばらくの間は無観客試合かオンラインでの対応を迫られると思います。お互いが協力しあって、エンターテインメント界を盛り立てていくことが必要となるでしょう。そして、そこで新たなエコシステムを構築することが急務です。
Jリーグではオンライン視聴をしながら「投げ銭(視聴者が配信者に寄付や投資をすること)」をするシステムを導入することが検討されており、eスポーツではすでにスタンダードなシステムとなっています。現場での観戦をしなくても、以前と同じくらいの収益を得られるようにすることで、スポーツもeスポーツも新たなステージに到達できるのではないでしょうか。
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