「逃げ恥」の新垣結衣、何度見ても飽きない魅力 再放送の特別編がこれだけの人気を保つ理由
平匡はみくりの近すぎず遠すぎないほどよい距離感を心地よく感じるのだが、新垣結衣が演じるみくりは一見、抗菌消臭されたように生々しさがない。それでいて漫画キャラほどフラットすぎず、お人形のようなかわいさだけでもない。絶妙なところにいる。それはドラマに出てくる小鳥のような、かすかな動きが心を揺らすような感じ。控えめで穏やかな表情の中に、他者にはいっさい感じさせない森山みくりの気遣い(気苦労)がにじみ出るという、新垣結衣はかなり高度な演技をしているのである。
ネタバレになるが、やがてみくりは相手に気を使いすぎて「小賢しい」と言われてしまうことを気にしていたことが明かされるが、「小賢しい」という言葉はさておき、大人の見識をもちながらそれを押し付けず、常に相手を慮った接し方を心がける、対人関係で絶対トラブらない感じのよさを演じている、演技をしているという複雑さ。
これまたネタバレになるが、ゆくゆく、みくりと平匡の関係が発展し家事と報酬の問題で新たなフェーズに入ったとき、みくりが考えることに疑問を覚える視聴者もいたのだが、新垣結衣が演じているから、激しい反発にはつながらなかったのだと思う。
何度も見ても希望がある
世知辛く生き辛い社会を生き延びるためにこんなにも繊細な気遣いが必要とされることに疲弊しているみくりが平匡と出会って救われていく。その過程には何度見ても希望がある。新垣結衣のみくりが新鮮なままテレビの中にいてくれるから、ドラマをまっさらで楽しめる。もちろん、平匡役の星野源もアーティストとしての発言が活発で、露出度も多めながら、真面目な堅物・平匡という人物を“星野源”とは見事に切り分けて演じているのだが、それに関してはまた別の機会に譲りたい。
「逃げ恥特別編」第2話(5月26日放送)は、契約結婚したものの、互いの両親にバレないように奮闘するみくりと平匡のエピソード。これもテンポのよい、秀作回である。いろいろ書いたが、結局、何回見ても楽しめる出来のいいドラマなのである。(敬称略)
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