アフターコロナで改めて考えたい「戦略の本質」 GAFAはイノベーターではないという事実

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グーグルは世界に最初に出現した検索エンジンではなく、アップルの前にPCを開発していた企業は存在しました。アマゾンの前には、書籍をオンラインで販売する小売企業があり、フェイスブックの前には、草創期のSNSとして世界的な人気を博した、マイスペースがあったのです。

グーグルを例にとれば、1990年に世界最初と言われる検索エンジンArchieが登場、90年代半ばには、lycos、Yahoo!、excite、infoseekなど、複数の検索エンジンが共存していました。当時、各検索エンジンはユーザー獲得にしのぎを削っていましたが、グーグルの創業は1998年。現在は、世界中のキーワード検索でグーグルが完全に支配的な立場を築いており、90年代とはまったく別の風景が出現しているのです。

なぜ後発組であるGAFAが支配者となったのか

では、なぜ後発組である彼らが先発企業を打ち破ったのか? ギャロウェイは、この疑問に次のように答えています。

「ある業界のパイオニアが、うしろから撃たれることはよくある。四騎士たちもまた後発組だ(中略)。彼らは先行者の死骸をあさって情報を集め、間違いから学び、資産を買い上げ、顧客を奪って成長した」(前述書より)

巨大企業へと成長するカギは、先発企業の弱点を見抜き、なにより「その業界で姿を現しつつある支配的な力学」を最初に見抜くことなのです。言葉を変えるなら、最初のイノベーターになるよりも、先行者をよく観察して、彼らの弱点を見つけることで、支配者を目指すことが何より重要だということです。

その上で、GAFAはいずれも、ユニークな戦略を使い成長に拍車をかけています。

以下、ギャロウェイが指摘する、GAFAの予想外の成功要因の一部をご紹介しましょう。

予想外の成功要因① 「顧客レビューは、広告よりも強力だ」

ギャロウェイは、アマゾンについても興味深い指摘をしています。それは、「広告よりも購入者レビューのほうが、強力だ」とアマゾンが気づいた点です。

「ベゾスは、宣伝はそうしたレビューに任せられると気づいた」(同書)

また、アマゾンを使えば使うほど、個人の嗜好・好みをアマゾンは理解していきます。やがてアマゾンは、注文する前に私たちが欲しいものを届けてくれるかもしれない。ギャロウェイはこれを、「ゼロ・クリック・オーダーへの野心」と呼んでいます。まるで魔法のような、ゼロ・クリック・オーダーを実現する企業が出現するなら、それは間違いなくアマゾンが最初となるでしょう。

予想外の成功要因② 「高級ファッションブランドの戦略」

アップルは、高機能かつイノベーターの象徴とされる創業者のイメージがありますが、ギャロウェイは意外な点を指摘します。直営店と高級ファッションブランドの戦略です。

「アップルの店舗の1平方フィート当たりの売上げは約5000ドルで、小売業で最高である。第2位はコンビニエンス・ストアだが、そこには50パーセントの違いがある。アップルの成功の決め手となったのは,iPhoneではなくアップルストアなのだ」(同書より)

インターネットで販売するビジネスが増える中、評論家はジョブズの行動(アップルの直販店をつくる)を、大いに批判したのです。「ほとんどの専門家はあきれた。店舗なんて過去のものだと」(同書より)

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