あなたのお金を狙う危険な「4つの密」とは何か ファイナンシャルディスタンシングが重要だ

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なお、金融機関のセールスと対峙する時に、密閉・密集・密接の「3密」を避けることの効果は、「必要な時にはこちらからお願いするし、ミーティングもこちらで設定する」と言って、テレワークに使う会議システムで、セールスマンの話を聞くとよく分かるかも知れない。圧迫を受けない距離と状況で、小さな画面の中で必死に話す人物を見ると、彼(彼女)の「不要不急」性が、実感としてよく分かるのではなかろうか。

なお、この場合に、日時の調整やミーティングの設定など、面倒なことは全て顧客側が自分でやることが大切だ。「自分は客なのだから、面倒なことは相手がやるべきなのだ」と感じている時点で、あなたは撃たれる寸前のカモである。「お客様は神様だ」という言葉を、顧客の立場にありながら信じるほど堕落した宗教はない。

4つ目の危険な「密」とは?

さて、お金の話には、もう一つ危険な「密」がある(何だと思われますか?)。

それは「秘密」の「密」だ。「これは〇〇筋(政治家、企業など)に近い知人から内々に聞いた話なので、他人に話さないことをお約束いただきたいのですが、実は…」というような前置き付きの儲け話は99%怪しい。また、特定のメンバーの間だけで秘密に出資を募っているというような触れ込みの話は99.9%怪しい。

そもそも、(1)本当に儲かる案件で、(2)ほどほどの資金で投資できるような話が本当に有望なら、金融が超緩和状態にある現在、情報の持ち主が自分で投資するはずであって、その情報が他人に提供されるはずがない。

もちろん、この種の物事にはバリエーションがあり、初期の段階で「撒き餌」的に儲けさせる手口もあるのだが、それを見破って且つ無事に食い逃げしようというのは、難度が高く割の悪い賭けだ。下手をするとリアルに怪我をしかねない。

加えて言うなら、この件は、「(あなたの)ご主人には内密にしておきますが」とか、「特例なので、私(金融マン)の上司には伝えなでください」といった条件が付く話も危険だ。

しかし、特に証券マンは、」「自分だけが知っている秘密の話」をするのが大好きだし、人は一般に内密になされるという前提の話に心を動かされやすい。「秘密」の「密」には、つい「蜜」と書き間違えてしまいそうな甘い誘惑がある。

結論をまとめよう。大切なお金を守るためには、4つの密(密閉・密集・密接・秘密)を慎重に避けることが大切だ。コロナの感染リスクを避けるために「ソーシャル・ディスタンシング」(社会的距離を取ること)が強調されるが、金融の意思決定にあって「人間のリスク」の悪影響を避けるためには「ファイナンシャル ディスタンシング」が重要だ。

すなわち、お金に関する意思決定は、必ず他人の影響から距離を置いて、一人で行うことが大切なのだ。

特に金融マンには、彼(彼女)が「菌有マン」だと思って相手をするくらいの距離を取ったほうがいい。もちろん、筆者も金融マンなので、例外ではない(本編はここで終了です。次ページは、競馬好きの筆者が週末の競馬を予想するコーナーです。あらかじめご了承ください。

次ページここからは競馬コーナー。週末G1はあのスーパー牝馬が登場!
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