イタリア人が取り戻した日常と「厳しい現実」 ロックダウンが解除された後の生活とは?

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5月4日からの新しい法令でもう1つうれしいのは、「公園に行っていい」ことだ。今までは自宅から200メートル範囲しか出かけられず、しかもその小さな外出にも「理由」が必要だったから、本当に息がつまるような暮らしだった。ゴミ捨てが唯一の楽しみだなんて冗談が、SNSを賑わせたりしたほどだ。

公園のあちこちには警察車両が止まっている

私も愛犬のグレースを連れて、早速、いつも行っていた近くの公園へ出かけた。自宅周りの歩道ではリードにつながれて歩くしかなかったグレースも、久しぶりに広大な公園で自由に走りまわり、本当にうれしそうだ。コロナ前と同じように、犬連れの人、ジョギングする人、ベビーカーを押した人たちとすれ違うけれど、そのほとんどの人が、マスクをしている。そして広大な公園のあちこちに警察車両が止まっていて、集まりすぎているグループはいないか、近寄りすぎている人はいないか、マスクはしているかをチェックしている。

ロックダウン中の緊迫感が減り、人が集まりすぎていないかチェックする警察の人たちも、なんだかリラックスしている感じ(筆者撮影)

生活必需品の買い物、親戚を訪ねるなどの理由があれば、居住している州内に限って移動が可能になったので、今度は少し遠くの大型スーパーに行ってみた。車を運転しながら、ふと、ロックダウンが解除になってから、車に乗る回数が増えていることに気がついた。周りを見ても、走っている車は確実に多い。ものすごいスピードで追い越していく車もいる。あんなに急いで、排気ガスをばらまいて、一体どこへ行こうというのだろう? ロックダウンを数週間しただけで、世界各地の大気汚染が改善されることがわかったのに、コロナ以前と同じようにしかできないなら、地球の未来が心配すぎる。

さてスーパーに着くと、入り口には、使い捨て手袋と消毒ジェルが設置されていた。なるほど、いつか新聞で読んだ「商業施設再開後は、事業主は顧客に手袋と消毒ジェルを支給すること」とはこれのことだったのだ。マスクをした係員が「ハイ、入店前に手袋をして!」と怖い顔で指示している。本当は怖い顔じゃないかもしれないが、マスクのせいでどんな顔かはわからない。

小麦粉は相変わらず品薄のようで、「お一人様2キロまで」と書かれた注意書きが(筆者撮影)

日本でも小麦粉、ホットケーキミックスが品薄と聞くけれど、イタリアの粉物フィーバーはロックダウン開始当初からいまだにずっと続いている。特にパンやピッツァ、手打ちパスタ熱がすごいらしいのは、それ用の粉類が目立って品薄なのからもよくわかる。

イタリア人女性の友人は、友達同士で「家族対抗・誰が一番おいしそうなパンを作るか競争」をしているのよといって、写真を送ってくれた。しかしなぜそんなに、みんなパンばっかり作るのか? パン屋さんは普通に営業しているし、スーパーにだってパンは売っているのに。

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