再び中古車両頼み?日本の鉄道輸出「前途多難」 輸入停止だったミャンマーに気動車無償譲渡

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まず、先述の通りそもそも予算が十分でないとみられる点がある。すでに新潟トランシスが受注した「ヤンゴン~マンダレー改良事業」フェーズ1向けは、24両が約70億円で契約されている。単純計算すると1両当たり2億9000万円だ。

一方、「環状線改良事業」では、締結された約240億円の円借款のうち、信号システム部分が70億円で落札されている。これを差し引いた数字を導入予定車両数の66で割ると、1両当たりに割ける額は2億6000万円ほどとなる。車両、信号とは別にコンサルティングの契約もあるから、実際にはさらに下がる計算だ。

車両の価格は、よく電車1両1億円と言われるが、気動車は若干割高になる傾向がある。また、海外向けの場合は仕様が異なりゼロから設計する必要があるうえ、輸送費や現地での教育費、アフターサービスなども含まれるため、最低でも国内向けの1.5倍程度はコストがかかると言われている。

「電気式」は高くつく

そして、今回要求される新型車両の仕様が電気式気動車であるという点には注意しなければならないだろう。

エンジンで発電機を回し、その電力で走行する電気式気動車は、いわば電車にディーゼル発電機を載せているわけで、通常の電車や気動車に比べると高くつく。

JR北海道の新型電気式気動車H100形(写真:もりみと/PIXTA)

JR北海道は、JR東日本の新型電気式気動車GV-E400系をベースとしたH100形を導入しており、75両の増備に約210億円を投じると報じられている。これに基づけば電気式気動車の価格は1両当たりおよそ2億8000万円である。1.5倍の法則を当てはめれば、4億円を超えてしまう。それでも前述の金額程度の予算しか確保されていないのならば、「環状線改良事業」の新型車両入札が流れたとしても不思議ではない。

日本の幹線鉄道は電化区間が大半を占め、気動車の需要は多くない。生産から撤退した車両メーカーも多く、新潟トランシスが国内の気動車シェアの約8割を占めている状態である。同社は地方ローカル鉄道などからの少量受注に対応するため、車体構造や部品などを共通化してコストダウンを図った軽快気動車を製造しており、各地の鉄道で導入されている。

同社は今回の「ヤンゴン~マンダレー改良事業」が初の電気式気動車の受注事例となる。ほかに国内で電気式気動車受注の実績があるのはGV-E400系・H100形を受注した川崎重工、それに試験走行車ではあるがJR東海のHC85系を受注した日本車輛製造のみで、いずれも「初モノ」である。

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