再び中古車両頼み?日本の鉄道輸出「前途多難」 輸入停止だったミャンマーに気動車無償譲渡

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しかし、ミャンマーは2016年にアウンサンスーチー氏率いる新政権が発足して以来、日本からの中古気動車の輸入を停止している。

ミャンマー国鉄に引き渡されなかった車両の一部はティラワ港のほか、ティラワ駅構内にも留置されていた。写真は元JR東海のキハ11系(筆者撮影)

中には輸送途中で政府の方針が変わってしまい、受け取りを拒否されている車両も存在する。2015年に譲渡された元JR東海のキハ40系列とキハ11系で、計84両が譲渡されるはずだったが、31両がミャンマー国鉄に引き渡されず、ミャンマー側のティラワ港及び名古屋港で数年間にわたり"塩漬け"になっている。

将来の電車運行ノウハウの教材としての役目も期待されていたものの、運行開始からわずか半年で営業休止に追い込まれた元広島電鉄の路面電車(筆者撮影)

同国政府は中古車両の輸入だけを停止しているのではなく、軍政時代に行っていた事業をことごとく取りやめている側面があるのではという声もある。わざわざ電化設備まで建設して運転を開始した路面電車プロジェクトも、政権交代後わずか半年で運転取りやめになってしまった。車両はもちろん、技術的な支援含め、日本が大きく関わっていただけに衝撃は大きかった。

アウンサンスーチー氏は、東洋経済オンライン2016年6月16日付記事(「故障が続出!ミャンマー走る日本の中古列車」)でも報じられている通り、中古車両の導入に否定的な発言をしている。すると、今回の中古気動車は従来の譲渡とはまったく別の枠組みで、何らかの事情のもとに輸出されたということになる。

ODAで無償譲渡

調べを進めていくと、これは日本政府ODAの無償資金協力で実施されていることが判明した。ODAの資材調達、入札管理を請け負う(財)日本国際協力システムが公開している契約実績からうかがい知ることができる。それによると、26両の中古気動車がミャンマーに無償譲渡されることになっており、これまでに新潟東港に回送された車両数と一致する。

現在、日本がODAとしてミャンマーで進めている鉄道プロジェクトは大きく2つに分けて「ヤンゴン~マンダレー改良事業」と、ヤンゴンの「環状線改良事業」があり、いずれも日本タイドの円借款(有償資金)協力である。両プロジェクトとも、新型の電気式気動車を導入してスピードアップを図ることが目玉となっており、前者については2018年に新潟トランシスが24両の電気式気動車(長距離タイプ)の受注を果たしている。

後者については、2019年3月に住友商事、日本信号、きんでんからなるコンソーシアムが鉄道信号システム・信号用電力供給設備の改修を受注している。ただ、当初計画では2021年に66両の電気式気動車が必要になると試算されているものの、現時点で車両については何らアナウンスはない。

一方で、環状線の改良工事は急ピッチで進んでおり、2021年4月の完成が予定されている。そう考えると、今回の26両の中古車両の無償譲渡は、「環状線改良事業」の車両についての救済処置の可能性が極めて高い。

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