【産業天気図・化粧品・トイレタリー】化粧品低迷で10年9月まで終始「雨」、回復カギは新興国開拓
09年10月~10年3月 | 10年4月~9月 |
化粧品・トイレタリー業界は2009年10月から10年9月まで、終始「雨」が続きそうだ。要因は化粧品の苦戦だ。
トイレタリーは必需品であるため消費不況でも堅調だが、嗜好品の要素が強い化粧品は節約志向の波に押されている。大手化粧品会社の主戦場である百貨店販売は前年割れが続き、主力ブランドが存在する2000~5000円の中価格帯化粧品が低迷している。一方ドラッグストアで販売される2000円以下の低価格帯化粧品は需要底堅く、企業にとっては利幅の薄い商品比率が上昇するトレンドだ。中期的にも、花王<4452>の尾崎元規社長が「景気の見通しが立たない限りは、今後の化粧品の需要回復は不透明」と言うように、回復の展望は見えない。
化粧品最大手の資生堂<4911>も例外ではなく、苦戦を強いられている。主力の中価格帯化粧品が打撃をうけたため、10年3月期の減収は確実。広告宣伝費を削減し、どうにか営業微増益に持ち込む公算だ。
花王も化粧品は販売不振だが、衣料用洗剤などトイレタリーは堅調。衣料用洗剤に超小型洗剤「アタックNeo」を投入するなど、高付加価値で差別化を図っている。費用面でも原材料価格安定がプラス材料。ただ、今10年3月期は食用油「エコナ」発売停止が痛い。「エコナ」は発がん性の疑いがあるとして、10月から発売停止した。10月~10年3月期(下期)は計画していた売り上げ100億円が剥落し、さらに棚卸整理損や関連特損も計上。10年3月期の純利益は前期比約4割減に落ち込む見通しだ。
一方で、ユニチャーム<8113>やフマキラー<4998>など海外に積極的に進出している企業は好調だ。国内市場は成熟し成長の余地は限られているため、海外、特に中国などの新興国をどれだけ深耕できるかが成長企業を分けるだろう。ユニチャームは中国の所得増を睨んで幼児用紙オムツの販売地域を内陸部にまで拡販。4~9月期(上期)は中国売上高が3割増で伸びている。今後も新興市場開拓には意欲的で、中期的な業績成長が期待できそうだ。
(島田 知穂)
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