窮地のゲーセンが3700万の支援獲得できた理由 コロナ禍で売上は「平常時の30%」まで落ちた

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そのミカドもコロナ禍により休業せざるをえなくなりました。ゲームセンターは周知のとおり、店舗に来てゲームをプレイしてもらわないと売り上げが成り立ちません。その点では演劇と同じライブエンターテインメントと言えるかもしれません。

コロナ禍が落ち着いた後にフル回転で営業したとしても、ゲーム機の台数も店舗の収容人数も変わらないので、大きく取り返すことはできません。そもそもゲームセンターは風俗営業法の下で営業しているので、通常営業以上に営業時間を延ばすこともできず、後から巻き返しがしにくい業態です。

クラウドファンディングは支援したい気持ちの表れ

そこで、ミカドはクラウドファンディングでファンに支援を求めました。目標額の2000万円は早々にクリアし、最終的には3700万円を超える資金を集めました。非常事態宣言の延長により休業日数が増えても問題ない程度の額となったわけです。

支援する見返りとしてゲームプレイ券などもあり、コロナ禍終息後の売り上げの先取りの部分もありますが、ファンにとってはちょっとお得なゲームプレイ券を手に入れたと考えるより、ミカドを助けたいという気持ちが大きかったのではないでしょうか。

おそらく、チケットを使える状態になってもあえて使わずその場でプレイ料金を払う人や、遠方在住でミカドに行く機会があるかどうかわからなくても支援した人もいると思われます。

さらに休業してからは毎日のように店舗から動画配信をしています。動画配信では視聴者が投げ銭として配信者に支援できるシステム「スーパーチャット」があり、そこでもミカドを潰したくない、存続してほしいという多くのファンから支援されています。

「演劇も動画で配信すればいいのでは?」というSNSでの意見に対して、演劇はライブで観てこそだと動画配信を否定する意見もみられました。

しかし、それはある種の思考停止で、劇場で演じる演目をそのまま動画で配信し、入場料を取るという考えにしか至らなかったからではないでしょうか。ゲームセンターは自分がその場に行き、好きなゲームにお金を入れてプレイすることが目的です。したがって、動画配信はその目的だけを考えるとまったく意味がないと言えます。

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