休校の長期化で生じる「教育格差」の根本原因 各学校や自治体によって整備にもばらつき
今回の長期休校は「学校の存在意義」を改めて見直すきっかけになったのではないかと思います。子どもたちにとって、本当に必要な学びに転換する好機となることを願っています。
再開が遅れると対応は難しい、入試にも不安
東京都立西高等学校長 萩原聡さん
4月7日に入学式を予定していましたが、緊急事態宣言を受けて急遽、中止になりました。新型コロナの休校が3、4月の節目の時期に当たった打撃は大きいです。新1年生は高校とはどういう学校なのか、中学から高校への切り替えができないまま1カ月間を過ごしています。
学習の遅れについては、本校では5月7日に学校が再開できれば、中間テストをなくし、7月いっぱい授業をすることでどうにか取り戻せると考えています。しかし、再開がそれ以上遅れると厳しい。
8月の夏休みをなくせばいいと考える人がいるかもしれませんが、8月は授業では扱わない部分の講習を行っており、なくせません。予備校の講座を活用したい生徒もいるでしょう。
ICTを導入している学校や自治体とそうでないところの教育格差の問題も浮き彫りになりました。授業のできない期間が長期化するなか現場としては一刻も早い整備を願っています。
大学入試への不安も高まっています。総合型選抜は9月から出願が始まりますが、1学期の授業が十分できなかったときに調査書の成績記入はどうすればいいのか。部活動をはじめとする諸活動もストップしています。進路指導もできず、就職を考えている高校生も今の状況に不安を抱えていると思います。
一般入試も3年生はセンター試験に代わり、新たに始まる大学入学共通テストを受験します。休校は全国一律でないため学習状況は地域によってばらつきもあります。
今月14日に開かれた「大学入試のあり方に関する検討会議」で、全国高等学校長協会を代表して文部科学省に対応を考えてほしいと伝えました。生徒たちに不公平感が出ない、安心して臨める方策を大学も含めて考えてほしいと思います。
(構成:編集部・石田かおる)
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