今こそ「両利きの経営」が切実に問われる理由 ポストコロナのイノベーション論はこれだ
今、非常に注目されているイノベーション理論が「両利きの経営」だ。
ここ1年ほどのメディアの報道でも、ソニー、トヨタ、KDDI、AGC、エステー、デンソー、ニコン、東京電力、日揮、パナソニックなど、日本を代表するの企業の経営幹部が続々と「両利きの経営」的な経営概念に言及している。
今回は、この研究の第一人者であるチャールズ・オライリー(スタンフォード大学教授)とマイケル・タッシュマン(ハーバード大学教授)による著作『両利きの経営――「二兎を追う戦略」が未来を切り拓く』の内容を参照しつつ、イノベーション論の歴史を振り返り、なぜ、ポストコロナにこの理論が求められているのかを解説する。
イノベーション論は経営の本質論の1つ
「コロナショック後」の経済、いわゆる「ポストコロナ」が今、企業活動においても大きく問われている。
これまで適温であった経済環境が目先で激変するとともに経営環境が悪化、また、コロナ禍が収まった後の市場を考えても、消費者の性向自体が大きく変化することで、企業は存続のための変化を強いられることになるだろう。
経済環境の変化、マーケットの変化、存続条件の変化に伴い、企業には新たなイノベーションが求められることになる。平時でさえ経営環境は変化の激しいものであるが、ポストコロナにおいては「イノベーション力」がより急速かつ切実に要請されるのは、もはや必然だといえるだろう。
イノベーション論は転換期の今こそ読まれるべきとはいえ、多忙なビジネスパーソンはいまこの状況で何冊もの本を丹念に読み込む時間的余裕も少ないだろうと思う。
そこで、10年にわたり経営書を制作してきた研究者の立場から、「まず1冊」として、『両利きの経営』を挙げる。
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