42歳パート妻「コロナ解雇」で身にしみる格差 「年収100万円程度」の働き方はお得ではない

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夫の扶養の範囲で働くパート主婦が年収100万円の場合、ご相談者が思っているように税金も社会保険料もまったくかからず、全額が自分の懐に残ります。では、年収200万円になると、手取りはどのくらい残るでしょうか。試算すると、税金が所得税と住民税で14万4000円、社会保険料は年間31万2000円。手取りは154万4000円です。年収が2倍になっても、手取りは1.5倍にしかならない。先輩のパート主婦の言うように「働き損」と感じるかもしれません。

しかし、年間30万円以上も負担することになる社会保険料は、決して無駄にはなりません。とくに、現在のようなコロナショックの緊急事態の状況下においては、生活を支える社会保険が「防貧」機能を発揮してくれます。

苦境になるほど露呈する「正社員との格差」

例えば、正社員が会社から休業を命じられたとしましょう。労働基準法では通常賃金の6割以上を「休業手当」として支給することが定められているので、休業となっても収入の一定額は保障されます。

また、今回は企業の休業手当を推進するために雇用保険の助成金が拡大されて、会社が社員に支払った手当の大部分を支援することになりました。この「雇用調整助成金」は原則雇用保険に加入している人に対する助成で、リーマンショックのときも発動されました。今回に限っては、パートなど雇用保険未加入の方も助成の対象となりますが、通常、雇用保険に加入していないパートの場合、休業はイコール無収入となります。

もし、今回のご相談者がパートではなく、正社員の立場で解雇されていたらどうなったでしょうか。この場合も、同じく雇用保険から「失業手当」の対象となります。失業手当は、賃金の5割から8割支給されますが、自分の都合で会社を辞めると、手当を受けるまでの3カ月間の「待ち」期間が発生します。しかし、解雇や倒産のように会社の都合で辞めた場合は、7日間の待期を経て受け取ることができます。

もちろんパートの方でも雇用保険に加入していれば失業手当が受けられますが、働く時間は週20時間以上などと条件も決まっています。ここは、無条件というわけではなく、働き方によるところです。ご相談者の場合は、雇用保険に加入していませんでしたから、今回辞めさせられても失業手当を受けることはできませんでした。

では、パート主婦の方がコロナに感染して、働けない期間が発生したらどうなるのでしょうか?

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