コロナ「次の支援策」、浮上する家賃支援の行方 必要性で与野党は一致、分かれる支援手法

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これに対し、自民党の岸田文雄政調会長が打ち上げたのは、国がテナントを直接支援する案だ。政府の緊急経済対策に盛り込まれている実質無利子・無担保の融資制度を活用し、「家賃等の固定費に使った分は元本返済を給付金や助成金、免除という形で実質的に国が責任を持つ」(4月28日の衆議院予算委員会における岸田氏の発言)というものだ。

岸田氏は、自らが提案した「減収世帯に30万円」案が与党内の反発を受けて、「一律10万円」に変わり、メンツを失ったばかり。安倍首相も「しっかり受け止める」と岸田氏にエールを送った。自民党内では、岸田氏の提案する家賃支援策を検討するプロジェクトチームが発足し、大型連休中に論点を整理し、連休明けの5月7日に自民党案をとりまとめる方針だ。

議論を呼ぶ家賃支援の対象

自民党案のメリットは、新法を制定する必要がない分だけスピード感をもって対応できることだ。問題は、岸田氏のいう「実質的に国が責任を持つ」という部分。対象者の区分や範囲については与党内でも固まっていないが、どういう形であれ財政支出額が膨張することは避けられない。

また、都市部と地方では賃料水準に大きな差がある。国がどこまでを助成するのか、補助率や上限額の設定が議論を呼びそうだ。

一方の野党案は家賃の猶予が基本で、テナントの家賃負担が消えてなくなるわけではない。家賃を肩代わりする日本政策金融公庫も、肩代わりした家賃を回収できなければ、不良債権として負担を負うことになる。

日頃は対立することが日常茶飯事の与野党が今回、珍しく家賃支援の方向性で一致した。立憲民主党の安住淳・国会対策委員長は東洋経済の取材に「テナント企業も不動産オーナーも、もう余裕がない。5月の家賃支払いに間に合わせるために、野党案には必ずしもこだわらない。自民党案と野党案のよい部分が組み合わさればクオリティの高い策になるだろう。政治の姿を見せる時だ」と力を込める。

与野党がたがいのメンツにこだわらず、現場の声に応えられるかどうか。家賃支援は政治の力量が問われている。

野中 大樹 東洋経済 記者

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のなか だいき / Daiki Nonaka

熊本県生まれ。週刊誌記者を経て2018年に東洋経済新報社入社。週刊東洋経済編集部。

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