無自覚に「部下のやる気を殺ぐ」リーダー6選 経営学者がみた「創造力をつぶす」NG行動
そうした事態を避けるには、直接のライバルではなく類似業種の企業から得たインスピレーションが役に立つことがある。しかし、ライバルに勝つことで頭がいっぱいのリーダーは、新鮮な視点から出てきた部下のアイデアに耳を貸さないものだ。
データ収集・分析、過去の経験に基づく予測と計画、予算の確保、実行、というふうに順を追って仕事を進めるリーダーがいる。
彼らはそうした直線的なアプローチに安心感を覚える。自分は未来を正確に予測できて、スケジュールどおりに物事が進み、未来へと続く流れを把握できると錯覚している。
確実性、秩序、直線的な考え方を好む傾向が、社内の創造力を阻害することは想像にかたくない。
その対極にあるのが、デザイン思考だ。デザイン思考ではまずユーザーを観察し、彼らに共感し、問題を発見して、解決へ向けたさまざまな選択肢を探っていく。試作品を作ったらユーザーからのフィードバックをもらう。
「やってみて学ぶ」というデザイン思考には、アイデアが生まれる機会が豊富にある。
今日、多数の企業がデザイン思考を導入している。しかし、途中でいつのまにか直線的な思考法に戻ってしまい、うまく実践できていないことも多いのが実情だ。
人は未来を予測できると思いたがる
新製品の提案に対して「それはヒット商品となるのかね?」と尋ねる上司はよくいる。
新製品のアイデアを形にしようとすれば、顧客のニーズ、市場の条件、技術的に実現可能なことなどについて、はっきりしないことやよくわからないことが驚くほどたくさん出てくる。正確なデータの取得は困難を極める。
そんな中で、その新製品が大きな売り上げをもたらすかどうかを予測することなど、本当にできるのか?
心理学者らによれば、人は不確実さを排除し「自分でコントロールできる」という感覚を求めたがるという。だがその感覚は正しくない。ヒット商品になるかどうかを予測できると思うほうがまちがいなのだ。アイデアを実現し、その後はあらゆる機会をとらえて、改善のための学習をするのが早道である。
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