コロナワクチンに「最速で9月量産」という光明 英オックスフォード大学が早くも治験開始

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新型コロナの感染が爆発的に広がるにつれ、補助金が注ぎ込まれた。研究所の実験施設が新型コロナウイルスのワクチン開発に専念できるように、ほかのすべてのワクチンは冷凍庫にしまわれた。その後、都市封鎖が始まり、新型コロナウイルスのワクチン開発に取り組んでいる人以外は全員、自宅待機となった。

オックスフォード大学のプロジェクトでワクチン製造の監督を担当するサンディ・ダグラス医師によれば、ワクチンの効果が未確認だというのに、資金提供者はイギリスとオランダの施設で生産体制を整えようと何千万ドルという資金を投じているという。

「ほかに(ワクチンの)候補がないので」と同氏。

独占販売権を求める北米の大手製薬会社

ただ、同チームはまだ北米の製造業者との合意には達していない。理由の1つは、大手製薬会社の行動にある。北米の大手製薬会社は、潜在的な薬に投資する前に世界的な独占販売権を要求するのが一般的だ。

「個人的には、パンデミックが起こっているときに独占的なライセンス契約を結ぶべきではないと思う」とヒル教授は述べた。「だから、私たちは製薬会社に無理をお願いしていることになる。誰もこのワクチンで大儲けすることはできない」。

オックスフォード大学の研究所は、エボラ出血熱、MERS、マラリアに対する類似のワクチンのヒト臨床試験で得られた安全性のデータをもとに、試験の迅速化を特例として認めるようイギリスの規制当局を説き伏せた。

同研究所は4月下旬に1100人を対象とする第1相臨床試験を開始した。注目すべきは、5月に5000人を対象とする第2/3相試験が始まることだ。現在進められているほかのワクチン開発プロジェクトとは異なり、この試験は安全性と同時に有効性を実証する目的で行われる。

プラセボを投与され発病する被験者が十数人ほど出る一方でワクチンを接種した被験者の発病が1〜2人にとどまれば、勝利宣言が出るはずだ。ヒル教授は「そうした結果になれば、パーティーを開いて世界に発表する」と語った。そうなれば、プラセボだけを受けた被験者も、すぐにワクチンを接種することになる。

イギリスで新型コロナに感染する被験者が少なすぎる場合には、アフリカやインドなど、感染拡大がまだ続いている場所で別の臨床試験を行うことも計画されている。

「私たちは感染の流行を追いかけ回すことになる」とヒル教授は言った。「まだウイルスが猛威を振るっている州があれば、11月にアメリカで臨床試験を行う可能性も考えられないわけではない」。

(執筆:David D. Kirkpatrick記者)

(C)2020 The New York Times News Services 

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