東大生が「本を深く読めて、かつ忘れない」ワケ 「3パターンの質問」で読書は10倍効率化する

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僕はこれを、「読者でなくて記者になれ」と説明しています。「読者」というのは受け身で、情報を与えられるのを待っている状態です。「読者」であることをやめ、「記者」になったつもりで質問を考えながら読むことで、能動的になれるのです。

記者(×汽車)になったつもりで質問を考えながらインプットすると、何倍も記憶に残りやすくなります(出所:『マンガでわかる東大読書』)

東大生がよくする「質問」3つのパターン

では具体的に、どんな「質問」を考えればいいのでしょうか。ここでは、東大生がよくする質問の3つのパターンをご紹介します。

質問パターン1「なぜ?」:原因を問う

まずは「原因を問う」です。僕らは本を読んでいても、結果だけを見てしまうことが多いです。「なるほど、日本は外国人の観光客が増えているんだ」とか「現在石油の価格が下がっている」とか、書いてある情報を事実としてそのまま受け入れてしまいがちです。

ですが、それだとどうしても応用が利きません。人間、理由を知らない物事はうまく活用できないのです。

例えば数学でも、公式を丸暗記しているだけでは応用問題は解けません。東大生は必ず、その公式がどうして成り立っているのかを理解しています。だから暗記していなくてもその場で公式を導くことができますし、応用問題にも対応できます。

これは英語でも同様です。例えばオーダー(Order)という英単語には「命令」「順番」「順序」「注文」という意味がありますが、この4つの意味を丸暗記するだけでは不十分です。「orderとは『秩序が守られている状態』を指し、そこから派生して4つの意味が生まれた」と理解したほうが覚えやすいですし、どのタイミングで使うのが適切かもわかるはずです。

学問でも本でも、「なぜ?」という原因を探ることによって、より理解が深まるのです。

これは小説・文学でもそうです。「なぜここで主人公は悲しい気分になったのか?」を考えると、主人公の内面や価値観、その小説の中で描きたい著者の考えが見えてくることがあります。文学作品では、その感情の理由が断片的にしか明記されていません。想像しなければならないからこそ、深みがあって面白いのだと思います。

このように、「原因」を探りながら読むのは、非常に大切なことなのです。

次ページ2つめ、3つめのパターンは?
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