住まいのプロに聞いた「在宅」を快適にする術 今回は4人の子育て家族を対象に話を聞いた

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分譲マンションにお住まいの方からもお話を伺うことができました。大和ハウス工業で広報セクションに勤務するDさん(30代女性)のお宅は、ご主人は通常どおり通勤されており、小学生と保育園児のお子様がいらっしゃるご家庭だといいます。

そのため、Dさんはお子さんの面倒をみつつ、家事をこなしながら在宅で業務をこなしているとのこと。「長時間同じ姿勢で仕事をしていると疲れるので、気分転換も兼ねて定期的に子どもたちと一緒にラジオ体操をして、身体を動かしています。仕事には保育園児がお昼寝中に集中して取り組むよう心がけています」。

生活上の工夫については、「元々、洗面所やトイレなど家族みんなが使用するスペースの小まめな掃除を心がけていました。在宅時間が増えると汚れる頻度も増えるので、その習慣が役立っています。また、定期的な換気を行い、空気を入れ替えることにも心がけています」と語ってくれました。

今起こっている事態の中で数少ない幸運なことは、これからしばらく過ごしやすい季節になること。窓を開けて空気を入れ替えることで、マンションという比較的限られた生活空間でも外部環境に触れることができ、感染リスクを低減する可能性を高め、リラックスできる環境づくりができると考えられます。

Dさんは、「これまで平日はとくに子どもたちと向き合う時間がなかったのですが、自宅で子どもと楽しく共同作業をすることを考えながら生活しています。例えば、時間をかけて夕食を一緒に作ったり、お手伝いポイント制度を設け、洗濯や掃除などの家事を通して、効率的に暮らす工夫を一緒に考えたりしています」と話していました。

かつてないほど高まる住まいの存在意義

今回の事例は以上ですが、最後に今、住宅産業界がどのような状況に置かれているか、少しだけ紹介しておきます。例えば、大和ハウス工業では、全国で事業所を閉鎖、施工現場をストップするという取り組みを行っています。

住宅展示場のモデルハウスに掲示された、あるハウスメーカーの新型コロナ対応に関する告知文(筆者撮影)

そのほかのハウスメーカーでも現在、住宅展示場ではモデルハウスの休業や来場者の人数制限、さらにはオープン時間の短縮などを行っています。今回の事態によりあらゆる産業が何がしかの悪影響を受けていますが、住宅産業界も相当の試練に見舞われているわけです。

新型コロナウイルスという見えない「敵」との戦いの中、住まいはかつてないほどその存在意義が問われているように筆者は感じています。今後も、住宅産業の関係者のご協力を得ながら、国民の外出自粛・在宅勤務生活を改善する方法を探る記事を提供できればと考えています。

田中 直輝 住生活ジャーナリスト

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たなか なおき / Naoki Tanaka

早稲田大学教育学部を卒業後、海外17カ国を一人旅。その後、約10年間にわたって住宅業界専門紙・住宅産業新聞社で主に大手ハウスメーカーを担当し、取材活動を行う。現在は、「住生活ジャーナリスト」として戸建てをはじめ、不動産業界も含め広く住宅の世界を探求。

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