家にいすぎて疲れた人に教えたい切り替え方 禅僧が説くストレスを吹き飛ばす3つの対処法

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イライラしている、疲れている、怒っている、モヤモヤしている……などご自身のネガティブな気持ちに気づいたら、あえてまったく関係ない行動をとる手法があります。意識的に取り組むことで、気持ちを切り替える効果が期待できます。

それは、「インターベンション・ブレスレット」という実践法です。「今、自分で自分のことを責める気持ちが湧いたな」と思ったら、右か左の手首につけた腕時計(輪ゴムやリストバンドなどでもOK)を、もう片方の手首に移動するだけ。これを繰り返します。いつでもネガティブな感情が起きたら、反対側に移動するだけのシンプルな実践法です。

なぜ、こんな簡単なことで気持ちが切り替わるのでしょうか。いくつかのメカニズムが想定されていますが、ひとつには、自分自身の感情に気づくだけでも、感情が「見える化」されるため、その気持ちが軽減することが考えられます。

このようにして客観的に自らの思考や感情を眺められる能力を「メタ認知」と言い、ストレス耐性を高めるために大変重要な能力とされています。もう一つのメカニズムとしては、ネガティブな感情に対して特定の動作をおこなうことで、「この感情に自分で対処できた」という自己効力感が生まれることが想定されます。簡単に言い換えれば、ネガティブな考えに対する「やった感」です。日頃から行っている動作ではなく、普段しないような、ちょっとだけ変わった動作だからこそ、特別なことをやって対処したという感覚が生まれるわけです。

気持ちを「消そう」とするほどその考えが強化

なお、ネガティブな気持ちになったときに避けたほうがいいのは、ネガティブな気持ちを「消そうとする」ことです。私たちの脳は、思考を打ち消そうとするほどに、その考えが強化されるという特性を持っています。イヤなことを忘れようとすればするほど、その事柄に対する苦しみが増大してしまう可能性があります。

それでもネガティブ思考が消えない時には、思い切って「動いてみる」ことが切り替えの効果を生むこともあります。軽いジョギング程度の運動でも、「脳由来神経栄養因子」という脳の神経細胞を修復する因子の分泌が増加することが分かっています。それだけでなく、純粋に達成感を持つということが心理的にポジティブな効果をもたらします。登山をして山頂についたときの爽快感、ジョギングで汗をかいたあとのスッキリ感。体は疲れていても心は晴れ晴れするものです。

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