「緊急事態延長」で迫る「経済停止」が招く大問題 経済無視の短期戦では「国民の貧窮」は不可避

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今は真っ先にリストラの標的にされたパート・派遣など非正規労働者の窮状が問題になっていますが、企業がなくなれば正社員も安泰ではありません。数百万人の失業者が街にあふれ、自殺者の増加も考えられます。

1か月とかの短期間なら、多くの国民が給付金など国からの支援で何とか生活を維持できます。しかし、財政状態が逼迫した日本では、追加で給付金を支給するのは1~2回が精一杯。給付金を頼りに長期間生きていくのは不可能です。これは企業への休業協力金でも同様です。倒産・失業、そして経済的な死を防ぐには、企業は事業活動を再開し、国民はそこで働いて稼ぐしかないのです。

今は短期戦の真っ最中なので、経済のことを口にすると、「感染と戦う大事な時に余計なことを言うな!」「自粛に応じない非国民!」とバッシングされます。しかし、経済無視は、短期戦では正解ですが、長期戦では不正解です。長期戦では、感染対策と経済対策を両輪で推進する必要があります。

長期戦で求められる「経済対策」

長期戦での「経済対策」には何が必要か。

まず、経済活動を「原則自粛」から「原則自由」に方針転換します。現在、都道府県単位で対策が進められていますが、市町村単位に細分化し、きめ細かく対応に差を付けます。たとえば東京都でも、都内全域一律に活動自粛するのではなく、感染拡大が続く港区・渋谷区などでは今まで以上に活動を厳しく制限する(原則禁止)一方、感染リスクが小さい福生市・あきる野市・三宅島などでは自由に活動してもらいます(原則自由)。

この方針転換を受けて、企業は事業所が所在する地域ごとの活動計画を作り、原則自由地域では事業活動を推進します。また、原則禁止地域から原則自由地域への事業活動の移管を進めます。

「いま工場を稼働させてモノを作っても売れ残るだけ」というなら、マスクの生産を始めたシャープのように、既存製品にこだわらず、社会の維持・発展に貢献できる製品を知恵を絞って探しましょう。さらに、非接触型ビジネスなど感染リスクに影響されない新事業の創造が期待されます。

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