婚活は、会わなければ始まらない。どの仲人も、「この状況がいつまで続くのだろうか」と重たい気持ちで日々を過ごしていた。しかし、こんな状況を打破するべく、Zoomというアプリを使ったオンライン上のお見合いをする動きが出てきた。
結婚相談所協会もオンラインお見合いを推奨するようになり、仲人たちにZoomの使い方を講習する定例会を開くようになった。
上田正治(仮名、35歳)は、Zoomでお見合いをしている会員の1人だ。正治は、大手IT企業に勤めているので、会社では随分前からZoomによるテレビ会議をしていたようで、使うことには慣れ親しんでいた。
初めてのZoomお見合いを終えた正治が、言った。
「リアルに会うお見合いって、写真とはまったく違う女性が来ることがあるじゃないですか。お見合いをするティーラウンジの入り口で、キョロキョロと探してしまうことがある。Zoomのお見合いは、それがないのがいいですよね」
確かにお見合い写真は、お見合いを組むことの呼び水なので、写真スタジオで完璧なライティングの中、プロのカメラマンが撮ることが多い。写真の修正をする人もいるので、写真とはまったく違う人物が来ることがある。そこは、婚活者なら誰もが周知していることだ。
「オンラインのお見合いは、 “ああ、写真とはずいぶん違うな”って思っても、“まあ、カメラを通すとこんなものかな”と思って、お見合いがスタートできるんですよ(笑)」
男性側の「お茶代」負担がない
Zoomは婚活業界の救世主だと、どの仲人も思い始めている。
結婚相談所では、個人情報を保護する観点から、登録サイトには会員番号が記されているのみで、名前は出ていない。お見合いが成立したときに相手に知らせるのは、苗字のみだ。その後、双方が交際希望を出し交際になって初めて、フルネームが明かされ、連絡先を交換する。
スカイプやLINEビデオは、個人のIDを交換しないとつながらないので、個人情報を保護する観点から、結婚相談所のお見合いには使えなかった。
しかし、Zoomは仲人がホストになり、お見合い開催のミーティング設定をして、URLとパスワードを2人に送れば、個人情報を交換することなく画面を見ながらのお見合いができるのだ。
正治は、こんなことも言った。
「お見合いのお茶代って、男性持ちですよね。自分の彼女にだったら、払うのは一向に構わないのだけれど、対面したときに僕の何が気に食わないのか、不機嫌そうな顔をしている女性がいる。“こんな態度を取っている相手にもお茶をごちそうしないといけないのか。このルール、どうにかならないのかな”と、思うこともあったんですよ」
仲人型の結婚相談所では、男性が女性のお茶代を出すのは暗黙の了解事項だ。たまに割り勘にしてくる男性がいるのだか、そこに女性たちはとても厳しい。
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