「35歳転職限界説」は過去のものに
「今の転職希望者の特徴は大きく3つある」と木下さん。
ひとつ目は、年齢の高まり。いわゆる 「35歳転職限界説」が過去のものとなりつつあり、35歳以上の人も転職を希望し、成功している。
2つ目は、リベンジ転職が多い。リーマンショックの不況時に就職がうまくいかなかった20代後半の世代が再挑戦している。
3つ目は、女性が増えている。政府が推進する「女性の活用」に後押しされて、一生働いていくためのキャリアを考え、女性を積極的に活用している会社を探している。
「35歳転職限界説」が崩れたのはなぜか。2007年10月の雇用対策法改正により、求人広告に「年齢制限」の記載ができなくなったことも影響しているだろう。
『DODA』の調査によると、転職成功者の平均年齢は、2007年4~6月期の29.2歳から上がり続け、2013年10~12月期は過去最高の31.3歳。6年間で2歳も上がった。
調査開始時の2007年4~6月期に比べて、35~40歳の転職成功者の割合は全体の8.0%から14.3%に、40歳以上の転職成功者の割合は2.5%から9.3%に上昇した。
35歳以上の転職成功者は全体の4分の1を占めるようになり、むしろ20代の転職成功者は全体の割合からすると減ってきている。
第二新卒を育成できなかった反省が企業にある
幹部層の人材サービス大手、リクルートエグゼクティブエージェントのエグゼクティブコンサルタント、森本千賀子さんは、「転職市場は活況だが、『第二新卒』(20代前半)は以前のような勢いはない」と話す。
リーマンショック前には第二新卒層から100人、200人と3ケタの大量採用を実施する企業も数多くあった。第二新卒は、社会人経験はゼロではなく、マナーやビジネススキルの基礎を前職で教育されていて、考え方も柔軟……。企業はそう考えて大量採用したのだが、結果として想定以上にはうまく育てられなかった経緯がある。
「ある意味、第二新卒は、会社に入って数年で辞めるという選択をした背景もあり、しっかりキャリアプランを立てて転職しないと、同じことを繰り返す。転職先の環境にもなじめず、安易に辞める人も少なくない。第二新卒者を即戦力化することが難しかったという反省が、企業側にはある。当時、ごっそり採用した第二新卒層をマネジメントできるような即戦力を求めて、今、ミドルの中途採用を積極的にしている企業も多い」(森本さん)。
企業は30代以上の即戦力に期待しているのだ。
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