頭の固い上司がテレワークの邪魔でしかない訳 問われる「IT」「ディレクション」スキル

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そして、いずれ必ずやってくるのが仕事の「評価」の問題です。部下に仕事の指示ができていないのに、その評価をできるはずもありません。上司がうまく指示できなくても、優秀な部下であれば自律的に仕事は前に進めていくはずですが、そのプロセスや成果を適切に評価してあげることができるでしょうか。

結果だけなら見えるかもしれません。しかし、テレワークで日々部下の仕事振りを観察できない状態において、その結果に対して誰が貢献したのかを判定するのは難しいでしょう。また、結果が出なかった場合、それが大変な努力の末に惜しくもダメだったのか、適切な行動を取っていなかったためにダメだったのかを判定するのも難しいところです。

それでも、勝手に見えている範囲で評価を「つける」ことはできるかもしれません。しかし、それを部下にフィードバックして納得してもらうことはできないでしょう。「私の何をどう見てこういう評価にしたのですか」という疑問と不満の嵐にならないか心配です。

「テレワーク導入」はこれから必須スキル

このように、テレワークができるかどうかは、テレワークをしなければならない人のせいではなく、させる人、つまりマネジャーたちの問題だということです。

最終責任者である経営者は、マネジャーたちの「無理だ」という声に負けずに、(本質的に可能なのであればですが)テレワークを実行させなくてはなりません。部下にテレワークをさせてあげることができるかどうかが、少なくともアフターコロナ時代に求められる上司のスキルと捉えたほうがいいでしょう。

ITリテラシーにしても、ディレクション能力にしても、評価スキルにしても、マネジャーが頑張ればいいだけの問題です。マネジャーの能力不足のせいで、社員がコロナの危機にさらされるようなことでは本末転倒ではないでしょうか。

曽和 利光 人材研究所 社長

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そわ としみつ / Toshimitsu Sowa

株式会社人材研究所 代表取締役社長、組織人事コンサルタント

京都大学教育学部教育心理学科卒業。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。2011年に株式会社人材研究所設立。現在、人々の可能性を開花させる場や組織を作るために、大企業から中小・ベンチャー企業まで幅広い顧客に対して諸事業を展開中。著書等:『知名度ゼロでも「この会社で働きたい」と思われる社長の採用ルール48』(東洋経済新報社、共著)など。

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