リコーリースの先手必勝、銀行の独占業務を開放で「資金決済」業へ進出 

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経理事務の負担軽減 実は温故知新型ビジネス

支払資金を立て替え払いする行為は、現在、金融分野のホットシーンとなっている、決済ビジネスへのアプローチと言いうる。実際、このサービスの業務フローの中には、従来、資金決済を独占的に担ってきた銀行の存在はない。デビット方式(即時引き落とし)のカード機能を活用し、企業の資金決済関連業務を代行するビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)サービスを行うのが「リコーグローバルマネーカード」のエッセンスだ。

「つまり、本業のリースと縁のない分野への新展開か」と、早合点されるかもしれない。確かに、見える部分はリースとは無縁だ。しかし、あにはからんや。実は密接につながっている。ここが今回の新業務のミソと言っていいだろう。

物件を賃貸する金融ビジネスのリース取引で、企業が従来享受できたオフバランス(リース利用物件を資産としてバランスシートに計上せずに済む)のメリットには、資産計上した際の帳票類などの経理事務負担の軽減という要素もある。裏返せば、リース取引の舞台裏では、関連事務をリース会社が代行している。

08年3月期決算からのリース会計基準変更に伴って、ファイナンスリースのオフバランス効果が失われたとはいえ、それ以後も、顧客企業に代わって取引関連の事務を請け負うことは、リース会社の利用価値を決定づける大きなファクターであり続けている(ちなみに、リース会計基準変更は上場企業など大手企業が対照。中小企業は対象外)。

リコーリースも全国40万社の経理事務代行会社のような部分がある。そのノウハウの蓄積があるからこそ、今回の新事業も立ち上げることができたと言っても過言ではない。いわば、グローバルマネーカードは伝統の中から新たな価値や意義を見いだす“温故知新”型ビジネスなのだ。もっとも、これは同社単独の事業ではない。国際キャッシュカードサービスなどを提供している、JTBグループのトラベルバンクとの提携であり、さらには国際ブランドカードのVISAのプリペイドカード機能を活用している。

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