ひろゆき「人生、努力ではどうにもなりません」

「できない自分」を前提に生きたほうがいい

努力属性の人は、たぶん頑張ること自体を楽しめるのだと思います。自分が動きまくって営業成績の数字が伸びていくことが喜び、みたいなスポーツ的な楽しみが、きっとあるのでしょう。

僕からしたら、時間も体力も使うので「嫌だなぁ」としか思いません。そこは性格によるので、何が正しいという話ではないのですが。

以前、ある人が「仕事で20個くらいキャッチコピーを考えなくてはいけなくて、時間はかかったけれど、なんとか捻り出せました」なんて話していたのを聞いて、驚いたことがあります。

どれだけ自分の才能を信じているんだろう、けっこうムダな時間を使ってるなと思いました。

僕だったら、自分のボキャブラリーが限られていることを前提にして「じゃあ、どうしようか」と考えるでしょう。

例えば、同じ表現しか思い浮かばなかったら、類語辞典で調べて表現のバリエーションを増やすとか、売れているもののキャッチコピーをネットで検索するとか、あらゆる手段を活用して手を抜きます。

自分の能力に自信がある人ほど、自分の頭でなんとかしようとするものです。でも、実は、自分の頭でなんとかしようとしないほうが、むしろ時間的にも内容的にも、うまくいくことが多い気がします。自分の能力だけでなんとかしようとするのが、まず基本的に間違っているんじゃないかと思うわけです。

同様に、自分自身のセンスや経験値に頼りすぎるのも危険だと思います。
たとえば、若い女性向け商品の開発会議で「この新商品はピンク色にしたい」とプレゼンするとします。

その場合、「私の経験と直感です」という主観的根拠で主張するのと「原宿の写真をたくさん並べてみたら、ピンク色の洋服を着た女性が一番多かったからです」という客観的根拠で主張するのでは、圧倒的に後者のほうが説得力は強いでしょう。

自分の中にあるセンスや経験だけ持ってきても、他人を説得することはできないのです。

自分の能力に自信がある人ほど、陥りがちなところですね。

人間、努力ではどうにもならない件

ずっと前に『銃・病原菌・鉄』(草思社)という本で読んだのですが、なぜ、数では圧倒的に劣る白人(スペイン人)がインカ帝国を征服できたのかというと、ひと言で言えば、「スペイン人が、東西に長いユーラシア大陸にいたから」だそうです。

ちょっと聞くと、わけがわからないと思いますが、物事って、努力よりも環境や条件の影響が大きいってことです。

インカ帝国は、現在の南アメリカ大陸の北西部に興った国ですが、そのころのアメリカ大陸にはなかった銃や鉄製の武器が、ユーラシア大陸にはあった。だから白人は数で圧倒的に劣っていても勝つことができました。

ただし、それは白人が特別に有能だったからとか、勤勉だったからではありません。詳しい説明は省きますが、気候差が激しい南北より、東西のほうが人や作物や技術の移動、伝播のスピードが速いため、東西に長いユーラシア大陸では生産性が上がりやすく、そのぶん早く文明が発達したからだそうです。

要するに、白人が銃などの文明の利器によって圧倒的な強さを持てたのは、東西に長いというユーラシア大陸の地理的条件の為せる業だったのです。

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