その結果、中国のみならず世界の銅需要は大幅に緩むことが予想される。LME市場の国際非鉄市況全体に影響が広がるとみるのが妥当である。さらにいえば、すべてのLME非鉄金属市況が銅市況に連動して軟化することも、容易に予想される。
コモディティーの世界では、金融取引に利用されるその他の非鉄金属、穀物などへの影響は避けられないだろう。銅市況の暴落は、理財商品のデフォルトを誘発し、それがさらに別のデフォルトを続発させる可能性も否定できない。そうなると中国経済の信用不安から人民元が下落し、中国経済の発展スピードには急ブレーキがかかるだろう。
事実、3月中旬には人民元の対ドルレートが数日で約2%も下落、中国政府は慌てた。これまでは政府が買い支えていたが、「もはやその力はなくなってきた」との見方をする通貨の専門家もいる。その後の通貨市場では、中国元の影響からBRICSを始めアセアンの通貨も全面安になった。いまは小康状態だが、今後も神経質な動きが予想される。
いずれにしても非鉄市場から主要な商品市況へ、為替市場へと、影響は避けられず今後の動向が注目される。
さて、今後の非鉄金属市況全体に影響を与える銅相場の先行きを予測しみてみよう。現時点では明確な下値支持線はなく、心理的には、6000ドル/トンが目安となるだろう。著名なアナリストのサイモン・ハント氏などは、4月末には5700ドル/トンまで下がるとの見方をしている。引き続き、銅の市況や人民元の動向からは目が離せない。
次回は、コモディティーや為替や社債のデフォルトの話ではなく、不動産市況の話を中心にしながら、中国の資産家がどうやって形成されたのか、そのメカニズムについて分析してみたい。
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