コロナ暴落後、いずれ更なる暴落がやって来る

衰退する米国が直面する「避けられない真実」

なぜなら、何か起これば必ず助けてもらえるという感覚が、リーマンショック以降、この国の資本市場には蔓延してしまったからだ。だが市場の動きを細かく見ると、それまで人間に殺されていたAIが、反逆に転じた可能性を感じる。つまり、いくらFEDが市場に資金をつぎ込んでも、進化したAIは実体経済の弱体化を見抜き、アセットバブルを潰しに来る。ただ、FEDが金融を救っている間は、このバカげたウエストワールドの世界が何度も繰り返されることになる。

それでは、なぜ中央銀行はそれを承知で救済をするのか。

リーマンショックでは、縦型(フルート型)シャンパングラスの根幹の「胴体」にシャンパンがまわっていた。この「酔っ払い状態」が、いわゆる金融のシステム危機をもたらした。

一方、今回は金融システムの根幹の幹にはシャンパンは回っていない。よって今のところ、金融はシステム危機ではない。だが、幹の上にできているキノコのような平型(クープ型)シャンパングラスの傘部分にはたっぷりとシャンパンが注がれている。この傘部分が雇用を生み出している以上、何があっても救済するしかない。

今は救済優先でも、必ず「取り返しのつかない事態」に

ただどんなことをしても終わりは来る。前FRB議長のジャネット・イエレン氏は、退任前、「自分が生きている間に二度と金融危機は起こらない」と言ったが、「間違い」を「もっと大きな間違い」でカバーすることはできない。

トランプ政権は、ちょうど1年前の2019年春、3カ月物と10年物の金利が逆転したことで緊急事態になった。その頃の株式市場は中国との貿易協議で一喜一憂していただけだが、ノイズではなくシグナルを見る専門家は、3カ月と10年の金利が逆転すると(5営業日)、ほぼ100%の確率で、1年後に景気後退がやってくることを知っていた。

再選に向けてそのシナリオが一番困るのがトランプ政権はFEDを攻撃、3度の利下げを断行させた。いったんはそれでイールドカーブ(利回り曲線)も元に戻った(順イールド)が、同9月には国債を担保に短期間金を貸し借りするレポ市場にショックが起こった。慌てたFEDが流動性を供給すると、呼応するようにNYダウなどのインデックスは最高値を更新した。

だがこの時に国内の実体経済を最も反映するといわれるインデックス「ラッセル2000」は、2018年の高値を更新することはなかった。そして、そんな中で新型コロナショックに先駆けて、3カ月と10年の金利は静かに再び逆転していたのである。

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筆者は陰謀論を信じないが、金融市場では、新型コロナショック後の大暴落を予想していた人たちは存在すると思う。そして今、筆者には「仕事を失った大量の弱者たち」と「再び焼け太りを狙う、ウォ-ルストリートやヘッジファンド」の2つの光景が同時に見える。

政治はこの折り合いをどうつけるのか。アメリカの政治は、2020年11月3日の大統領選に向けて、左派のバーニー・サンダース候補の可能性をはやばやと潰し、政権側がサンダース氏がやる予定だった「社会主義政策」を始めた。

その恩恵を受ける金融筋からは「資本主義を救うための一時的な社会主義政策」などの声が聞こえるが、どこまでも自分の都合を優先する彼らとは裏腹に、政治では「何でもあり」の後始末が待ち受けている。

今回の救済の結果、単年での財政赤字幅拡大はサンダース候補が予定していた2兆ドルを上回る。大統領選まではトランプ政権も民主党も選挙に勝とうと「救済の手」を緩めないはずだが、最後、市場原理は等しく襲い掛かる。「自国通貨建ての国債は好きなだけ発行できる」などといったMMT(現代金融理論)は、机上の空論でしかない。「返すつもりがない債券」発行の繰り返しは、必ず、とりかえしのつかない債券の暴落を招く。ただし今は、国家が救済を優先することを、誰も止められない現状を傍観するしかない。

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