男だらけの不動産会社で女性が飛躍する会社 高知・ファースト・コラボレーションの事例(2)

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子持ちの女性を積極登用

また同社では、小学校に上がる前の小さな子供のいる女性を、責任ある店長職に積極的に抜擢しています。「女性が店長を務めることで、どのようないい点があるのですか」という私の問いに、武樋社長は次のように答えてくれました。

「実は店長の仕事は、売り上げを上げることではありません。みんながうまくやっているかどうか、さりげなく気を配って、伸び伸びと働ける環境をつくるのが店長のいちばん大事な仕事です。女性はメンバーの様子を敏感に察知する能力に優れているので、それがうまい」

確かに母親は子供の様子がいつもと違うだけで、ちょっと元気がないとか、熱があるとか気づくものです。女性には周囲の人たちの調子を敏感に感じとる繊細さがあるのかもしれません。

さらに武樋社長は、「女性店長はおせっかいができるのがいいところ」だと言います。店長という責任ある立場につけば、店は「単なる職場」から「自分の城」に、一緒に働く人たちは「ただの同僚」から「私のかわいい部下」になります。そのかわいい部下に元気がなければ、「どうしたの? 何かあった?」とおせっかいを焼くようになる。武樋社長はこの「おせっかい」こそ、店がうまくいくポイントだと断言します。

「上司は部下の問題を“大げさに”とらえることが大事です。些細なことだと見逃しているうちに、いつの間にかどんどん状況が悪化していってしまう」

そしておせっかいを焼くなら、中途半端に焼くのではなく、「完全に」焼くこと。つまり中途半端な介入は、興味本位に干渉されたようで不愉快ですが、上司が自分のことを心から気にかけていることがわかると、部下にとっても上司が「単なる上司」ではなく、「人生のお姉さん」という感じになってくるのだとか(ちなみにファースト・コラボレーション社では、日頃、「上司」「部下」という言葉は使わず「先輩」「後輩」という表現を用いているそうです。これもお互いを認め合う文化のひとつかもしれません)。

女性店長のひとり、片岡直子さんも、「入社直後におせっかいを受けた」と述懐します。

「当時の私は一匹狼で仏頂面。“誰も私の中に入ってこないで”と自ら壁を作っていました。そして仕事もあまりうまくいかなくて、あるとき会社を辞めようとしたら、ベッチー(注:別役和美・南国店長のあだ名。ファースト・コラボレーションでは役職に関係なく社員全員をあだ名で呼び合うことになっている)が、なんで辞めるの、なんで、なんでってしつこく聞いてくる。最初は“どうしてここまで私の中に踏み込んでくるの?”と戸惑ったけれど、だんだん“私のことをそこまで気にしてくれているんだ”と気持ちに変化が訪れました。いまでは私も他の人に“おせっかい姉さん”になっています」

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